(1)
t を実数の定数とし,2次方程式 z2+tz+t=0 の判別式を D とすると D=t2−4t=t(t−4).
この方程式が異なる2つの虚数解(実数でない解)をもつための必要十分条件は D<0 である。実際,D>0 のときは異なる2つの実数解,D=0 のときは実数の重解となり,いずれも虚数解ではないから,D<0 の場合に限られる。
D=t(t−4)<0 を解くと 0<t<4.
このとき,解の公式より z=2−t±D=2−t±−(4t−t2)=2−t±i4t−t2=−2t±2i4t−t2.
(0<t<4 より 4t−t2=t(4−t)>0 であるから根号の中身は正である。)
結論: 0<t<4 のとき,かつそのときに限り異なる2つの虚数解をもち,そのときの解は z=−2t±2i4t−t2(複号同順, 0<t<4) の2つである。
(2)
0<t<4 のとき,(1)の2つの解は実係数2次方程式の非実数解であるから互いに共役である。虚部が正の方を z=z(t) とすると,もう一方の解は zˉ である。
解と係数の関係より z+zˉ=−t,zzˉ=t.
両式から t を消去すると z+zˉ=−zzˉすなわちzzˉ+z+zˉ+1=1すなわち(z+1)(zˉ+1)=1.
zˉ+1=z+1 であるから,左辺は (z+1)(z+1)=∣z+1∣2 に等しく, ∣z+1∣2=1すなわち∣z+1∣=1.
よって点 z(t) は,中心 −1(座標 (−1,0)),半径 1 の円周上にある。さらに z(t) の虚部は正である(定義より)から,z(t) はこの円のうち実軸より上側の部分にある。
逆に,実部 x=Rez(t)=−2t は 0<t<4 の範囲で連続であり、t が増えると x=−t/2 は減少する。また,t→0 で x→0,t→4 で x→−2 となるから,x は −2<x<0 のすべての値をちょうど1回ずつとる。円の上半分は y=1−(x+1)2 (−2<x<0) により、x ごとに y がただ一つに定まる関数のグラフであるから,t が 0<t<4 の範囲を動くとき,z(t) はこの円の上半分(両端点 (0,0),(−2,0) を除く)をちょうど1回ずつなぞる。
結論: 図形 C は ∣z+1∣=1かつImz>0 で表される,中心 −1,半径 1 の円のうち上半分(実軸との交点 z=0,z=−2 を除く)である。
図示: 複素数平面上に中心 (−1,0),半径 1 の円をかき,実軸より上側の半円を実線で描く。円と実軸の交点である (0,0) と (−2,0) には,含まれないことを示す白丸をつける。
(3)
C 上の点 z(z=−1,実際 C 上では常に z=−1)に対して w=z+1iz とする。w について整理すると w(z+1)=iz すなわち wz+w=iz すなわち z(w−i)=−w すなわち z=i−ww(w=i).
このとき z+1=i−ww+1=i−ww+(i−w)=i−wi.
∣z+1∣=1 に代入すると,∣i−w∣=∣w−i∣ より i−wi=1 すなわち ∣i∣=∣w−i∣ すなわち ∣w−i∣=1.
よって w は中心 i(座標 (0,1)),半径 1 の円周上にある。
次に,Imz>0 が w にどう対応するかを調べる。w=X+iY(X,Y は実数)とおくと z=i−ww=−X+i(1−Y)X+iY.
分母の共役 −X−i(1−Y) を分子・分母に掛けると,分母は (−X)2+(1−Y)2=X2+(Y−1)2=∣w−i∣2,
分子は (X+iY)(−X−i(1−Y))=−X2−iX(1−Y)−iXY+Y(1−Y)=(−X2+Y−Y2)−iX.
よって z=X2+(Y−1)2(−X2−Y2+Y)−iX,Imz=X2+(Y−1)2−X.
今,w は円 ∣w−i∣=1 上にあるから X2+(Y−1)2=1 であり,したがって Imz=−X.
ゆえに Imz>0 すなわち −X>0 すなわち X<0 すなわち Rew<0.
端点についても確認する。t→0(z→0)に対応する w の値は w=0+1i⋅0=0,t→4(z→−2)に対応する値は w=−2+1i(−2)=2i であり,いずれも実部 0 の境界点であるから,これらも除かれる。
また,C 上では z=−1 であり、上の式により w から z がただ一つに定まるので,C の開弧(両端点を除く上半円)は,像である開弧(両端点 0,2i を除く左半円)の上へ過不足なく写る。(実際,z=−1+eiθ (0<θ<π) とパラメータ表示すると w=−sinθ+i(1−cosθ) となり,θ が 0<θ<π の範囲を動くとき (X,Y)=(−sinθ,1−cosθ) は左半円を両端点を除いてちょうど1回ずつなぞることからも確かめられる。)
結論: 点 w が描く図形は ∣w−i∣=1かつRew<0 で表される,中心 i,半径 1 の円のうち左半分(虚軸との交点 w=0,w=2i を除く)である。
図示: 複素数平面上に中心 (0,1),半径 1 の円をかき,虚軸より左側の半円を実線で描く。円と虚軸の交点である 0 と 2i には,含まれないことを示す白丸をつける。