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九州大学/2005年度/前期

九州大学 2005年 数学 第3問解答・解説

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1問題

九州大学2005年度第3問配点 50点

この問題の解答は,解答紙14の定められた場所に記入しなさい。

【問題】

tt を実数とするとき,2次方程式 z2+tz+t=0z^{2}+tz+t=0 について,次の問いに答えよ。

(1) この2次方程式が異なる2つの虚数解をもつような tt の範囲と,そのときの虚数解をすべて求めよ。

(2) (1)の虚数解のうち,その虚部が正のものを z(t)z(t) で表す。tt が(1)で求めた範囲を動くとき,複素数平面上で点 z(t)z(t) が描く図形 CC を求め,図示せよ。

(3) 複素数平面上で,点 zz が(2)の図形 CC 上を動くとき, w=izz+1\displaystyle w=\frac{iz}{z+1} で表される点 ww が描く図形を求め,図示せよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

実係数2次方程式の判別式で虚数解条件を判定し(1)を解く。(2)は共役解の和・積(解と係数の関係)から (z+1)(zˉ\bar z+1)=1 を導いて円 |z+1|=1 を得て、実部の単調性で上半円全体をなぞることを確認する。(3)はw=iz/(z+1)をzについて解いて逆写像を作り、|z+1|=1の条件をwの円の条件に、Im z>0の条件をRe wの符号条件に変換して像の図形を特定する。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) 0<t<4 (1)\space{}0<t<4\space{} のとき異なる2つの虚数解をもち,そのときの解は z=−t2±i24t−t2(\displaystyle z=-\dfrac{t}{2}\pm\dfrac{i}{2}\sqrt{4t-t^{2}}\quad(複号同順, 0<t<4),\space{}0<t<4)。
    (2) C: ∣z+1∣=1 (2)\space{}C:\space{}|z+1|=1\space{} かつ Im z>0 \space{}\mathrm{Im}\,z>0\space{} (円 ∣z+1∣=1 \space{}|z+1|=1\space{} の上半分,端点 z=0, z=−2 \space{}z=0,\,z=-2\space{} を除く)。
    (3) ∣w−i∣=1 (3)\space{}|w-i|=1\space{} かつ Re w<0 \space{}\mathrm{Re}\,w<0\space{} (円 ∣w−i∣=1 \space{}|w-i|=1\space{} の左半分,端点 w=0, w=2i \space{}w=0,\,w=2i\space{} を除く)。

4解答

解答を見る途中式つきの解答

(1)

tt を実数の定数とし,2次方程式 z2+tz+t=0z^{2}+tz+t=0 の判別式を DD とすると D=t2−4t=t(t−4).D=t^{2}-4t=t(t-4).

この方程式が異なる2つの虚数解(実数でない解)をもつための必要十分条件は D<0D<0 である。実際,D>0D>0 のときは異なる2つの実数解,D=0D=0 のときは実数の重解となり,いずれも虚数解ではないから,D<0D<0 の場合に限られる。

D=t(t−4)<0D=t(t-4)<0 を解くと 0<t<4.0<t<4.

このとき,解の公式より z=−t±D2=−t±−(4t−t2)2=−t±i4t−t22=−t2±i24t−t2.\displaystyle z=\frac{-t\pm\sqrt{D}}{2}=\frac{-t\pm\sqrt{-(4t-t^{2})}}{2}=\frac{-t\pm i\sqrt{4t-t^{2}}}{2} =-\frac{t}{2}\pm\frac{i}{2}\sqrt{4t-t^{2}}.

(0<t<40<t<4 より 4t−t2=t(4−t)>04t-t^{2}=t(4-t)>0 であるから根号の中身は正である。)

結論: 0<t<40<t<4 のとき,かつそのときに限り異なる2つの虚数解をもち,そのときの解は z=−t2±i24t−t2(複号同順, 0<t<4)\displaystyle z=-\frac{t}{2}\pm\frac{i}{2}\sqrt{4t-t^{2}}\qquad(複号同順,\ 0<t<4) の2つである。

(2)

0<t<40<t<4 のとき,(1)の2つの解は実係数2次方程式の非実数解であるから互いに共役である。虚部が正の方を z=z(t)z=z(t) とすると,もう一方の解は zˉ\bar z である。

解と係数の関係より z+zˉ=−t,zzˉ=t.z+\bar z=-t,\qquad z\bar z=t.

両式から tt を消去すると z+zˉ=−zzˉすなわちzzˉ+z+zˉ+1=1すなわち(z+1)(zˉ+1)=1.z+\bar z=-z\bar z \quad\text{すなわち}\quad z\bar z+z+\bar z+1=1 \quad\text{すなわち}\quad (z+1)(\bar z+1)=1.

zˉ+1=z+1‾\bar z+1=\overline{z+1} であるから,左辺は (z+1)(z+1)‾=∣z+1∣2(z+1)\overline{(z+1)}=|z+1|^{2} に等しく, ∣z+1∣2=1すなわち∣z+1∣=1.|z+1|^{2}=1\quad\text{すなわち}\quad |z+1|=1.

よって点 z(t)z(t) は,中心 −1-1(座標 (−1,0)(-1,0)),半径 11 の円周上にある。さらに z(t)z(t) の虚部は正である(定義より)から,z(t)z(t) はこの円のうち実軸より上側の部分にある。

逆に,実部 x=Re⁡z(t)=−t2\displaystyle x=\operatorname{Re}z(t)=-\dfrac{t}{2} は 0<t<40<t<4 の範囲で連続であり、tt が増えると x=−t/2x=-t/2 は減少する。また,t→0t\to0 で x→0x\to0,t→4t\to4 で x→−2x\to-2 となるから,xx は −2<x<0-2<x<0 のすべての値をちょうど1回ずつとる。円の上半分は y=1−(x+1)2 (−2<x<0)y=\sqrt{1-(x+1)^{2}}\ (-2<x<0) により、xx ごとに yy がただ一つに定まる関数のグラフであるから,tt が 0<t<40<t<4 の範囲を動くとき,z(t)z(t) はこの円の上半分(両端点 (0,0)(0,0),(−2,0)(-2,0) を除く)をちょうど1回ずつなぞる。

結論: 図形 CC は ∣z+1∣=1かつIm⁡z>0|z+1|=1\quad\text{かつ}\quad \operatorname{Im}z>0 で表される,中心 −1-1,半径 11 の円のうち上半分(実軸との交点 z=0, z=−2z=0,\,z=-2 を除く)である。

図示: 複素数平面上に中心 (−1,0)(-1,0),半径 11 の円をかき,実軸より上側の半円を実線で描く。円と実軸の交点である (0,0)(0,0) と (−2,0)(-2,0) には,含まれないことを示す白丸をつける。

(3)

CC 上の点 zz(z≠−1z\neq-1,実際 CC 上では常に z≠−1z\neq-1)に対して w=izz+1\displaystyle w=\frac{iz}{z+1} とする。ww について整理すると w(z+1)=iz すなわち wz+w=iz すなわち z(w−i)=−w すなわち z=wi−w(w≠i).\displaystyle w(z+1)=iz\ \quad\text{すなわち}\quad\ wz+w=iz\ \quad\text{すなわち}\quad\ z(w-i)=-w\ \quad\text{すなわち}\quad\ z=\frac{w}{i-w}\qquad(w\neq i).

このとき z+1=wi−w+1=w+(i−w)i−w=ii−w.\displaystyle z+1=\frac{w}{i-w}+1=\frac{w+(i-w)}{i-w}=\frac{i}{i-w}.

∣z+1∣=1|z+1|=1 に代入すると,∣i−w∣=∣w−i∣|i-w|=|w-i| より ∣ii−w∣=1 すなわち ∣i∣=∣w−i∣ すなわち ∣w−i∣=1.\displaystyle \left|\frac{i}{i-w}\right|=1\ \quad\text{すなわち}\quad\ |i|=|w-i|\ \quad\text{すなわち}\quad\ |w-i|=1.

よって ww は中心 ii(座標 (0,1)(0,1)),半径 11 の円周上にある。

次に,Im⁡z>0\operatorname{Im}z>0 が ww にどう対応するかを調べる。w=X+iYw=X+iY(X,YX,Y は実数)とおくと z=wi−w=X+iY−X+i(1−Y).\displaystyle z=\frac{w}{i-w}=\frac{X+iY}{-X+i(1-Y)}.

分母の共役 −X−i(1−Y)-X-i(1-Y) を分子・分母に掛けると,分母は (−X)2+(1−Y)2=X2+(Y−1)2=∣w−i∣2,(-X)^{2}+(1-Y)^{2}=X^{2}+(Y-1)^{2}=|w-i|^{2},

分子は (X+iY)(−X−i(1−Y))=−X2−iX(1−Y)−iXY+Y(1−Y)=(−X2+Y−Y2)−iX.(X+iY)\bigl(-X-i(1-Y)\bigr)=-X^{2}-iX(1-Y)-iXY+Y(1-Y)=\bigl(-X^{2}+Y-Y^{2}\bigr)-iX.

よって z=(−X2−Y2+Y)−iXX2+(Y−1)2,Im⁡z=−XX2+(Y−1)2.\displaystyle z=\frac{(-X^{2}-Y^{2}+Y)-iX}{X^{2}+(Y-1)^{2}},\qquad \operatorname{Im}z=\frac{-X}{X^{2}+(Y-1)^{2}}.

今,ww は円 ∣w−i∣=1|w-i|=1 上にあるから X2+(Y−1)2=1X^{2}+(Y-1)^{2}=1 であり,したがって Im⁡z=−X.\operatorname{Im}z=-X.

ゆえに Im⁡z>0 すなわち −X>0 すなわち X<0 すなわち Re⁡w<0.\operatorname{Im}z>0\ \quad\text{すなわち}\quad\ -X>0\ \quad\text{すなわち}\quad\ X<0\ \quad\text{すなわち}\quad\ \operatorname{Re}w<0.

端点についても確認する。t→0t\to0(z→0z\to0)に対応する ww の値は w=i⋅00+1=0\displaystyle w=\dfrac{i\cdot0}{0+1}=0,t→4t\to4(z→−2z\to-2)に対応する値は w=i(−2)−2+1=2i\displaystyle w=\dfrac{i(-2)}{-2+1}=2i であり,いずれも実部 00 の境界点であるから,これらも除かれる。

また,CC 上では z≠−1z\neq-1 であり、上の式により ww から zz がただ一つに定まるので,CC の開弧(両端点を除く上半円)は,像である開弧(両端点 0, 2i0,\,2i を除く左半円)の上へ過不足なく写る。(実際,z=−1+eiθ (0<θ<π)z=-1+e^{i\theta}\ (0<\theta<\pi) とパラメータ表示すると w=−sin⁡θ+i(1−cos⁡θ)w=-\sin\theta+i(1-\cos\theta) となり,θ\theta が 0<θ<π0<\theta<\pi の範囲を動くとき (X,Y)=(−sin⁡θ, 1−cos⁡θ)(X,Y)=(-\sin\theta,\,1-\cos\theta) は左半円を両端点を除いてちょうど1回ずつなぞることからも確かめられる。)

結論: 点 ww が描く図形は ∣w−i∣=1かつRe⁡w<0|w-i|=1\quad\text{かつ}\quad \operatorname{Re}w<0 で表される,中心 ii,半径 11 の円のうち左半分(虚軸との交点 w=0, w=2iw=0,\,w=2i を除く)である。

図示: 複素数平面上に中心 (0,1)(0,1),半径 11 の円をかき,虚軸より左側の半円を実線で描く。円と虚軸の交点である 00 と 2i2i には,含まれないことを示す白丸をつける。

この問題で使う考え方

  • 二次方程式の判別式
  • 複素数の四則演算
  • 解と係数の関係
  • 複素数平面

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