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九州大学/2008年度/前期

九州大学 2008年 数学 第4問解答・解説

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1問題

九州大学2008年度第4問

a>0a>0 に対して,f(x)=a+log⁡x(x>0)f(x)=a+\log x\quad(x>0),g(x)=x−1(x≧1)g(x)=\sqrt{x-1}\quad(x\geq 1) とおく。2 曲線 y=f(x),y=g(x)y=f(x), y=g(x) が,ある点 PP を共有し,その点で共通の接線 ll を持つとする。このとき,次の問いに答えよ。

(1) aa の値,点 PP の座標,および接線 ll の方程式を求めよ。

(2) 2 曲線は点 PP 以外の共有点を持たないことを示せ。

(3) 2 曲線と xx 軸で囲まれた部分の面積を求めよ。

(配点 50 点)

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) a=1−log⁡2,P(2, 1),l: y=12x\displaystyle (1)\space{}a=1-\log 2,\quad P(2,\space{}1),\quad l:\space{}y=\dfrac{1}{2}x
    (2) h(x)=f(x)−g(x) (x≧1) (2)\space{}h(x)=f(x)-g(x)\space{}(x\ge 1)\space{} は狭義単調減少であり,h(2)=0 h(2)=0\space{} なので点P 以外に共有点はない。
    (3) S=2e−23=6−2e3e\displaystyle (3)\space{}S=\dfrac{2}{e}-\dfrac{2}{3}=\dfrac{6-2e}{3e}

3解答

解答を見る途中式つきの解答

設問設定:a>0a>0 とし,f(x)=a+log⁡x (x>0)f(x)=a+\log x\ (x>0),g(x)=x−1 (x≧1)g(x)=\sqrt{x-1}\ (x\ge 1) とおく。以下,log⁡\log は自然対数 log⁡e\log_e を表す(ff の導関数が 1/x1/x となるのはこの意味の対数のときだけであるため,この問題設定ではこの解釈をとる)。

(1)

点 PP の xx 座標を tt とする。gg の定義域は x≧1x\ge 1 であるから t≧1t\ge 1 が必要である。さらに PP で共通接線をもつには,tt において両曲線が微分可能かつ微分係数が一致しなければならない。g′(x)=12x−1\displaystyle g'(x)=\dfrac{1}{2\sqrt{x-1}} は x=1x=1 で定義されない(x→1+x\to 1+ で +∞+\infty に発散する)ので,t>1t>1 でなければならない。

f′(x)=1x (x>0)\displaystyle f'(x)=\dfrac{1}{x}\ (x>0),g′(x)=12x−1 (x>1)\displaystyle g'(x)=\dfrac{1}{2\sqrt{x-1}}\ (x>1) であるから,接線の傾きが一致する条件はf′(t)=g′(t)すなわち1t=12t−1すなわち2t−1=t.\displaystyle f'(t)=g'(t)\text{すなわち} \frac{1}{t}=\frac{1}{2\sqrt{t-1}}\text{すなわち} 2\sqrt{t-1}=t.この方程式は aa を含まない。t>1>0t>1>0 より両辺は正であるから,2乗しても同値である:4(t−1)=t2すなわちt2−4t+4=0すなわち(t−2)2=0すなわちt=2.4(t-1)=t^{2}\text{すなわち} t^{2}-4t+4=0\text{すなわち} (t-2)^{2}=0\text{すなわち} t=2.t=2t=2 は t>1t>1 を満たすので,これが唯一の候補である。

次に,点の共有条件 f(t)=g(t)f(t)=g(t) より a+log⁡2=g(2)=2−1=1 より a=1−log⁡2.a+\log 2=g(2)=\sqrt{2-1}=1\ \text{より}\ a=1-\log 2.ここで 2<e2<e より log⁡2<1\log 2<1 であるから a=1−log⁡2>0a=1-\log 2>0 となり,題意の a>0a>0 と矛盾しない(解として適する)。

よって a=1−log⁡2,P=(2, f(2))=(2, 1).a=1-\log 2,\qquad P=(2,\ f(2))=(2,\ 1).接線の傾きは f′(2)=12\displaystyle f'(2)=\dfrac12(実際 g′(2)=121=12\displaystyle g'(2)=\dfrac{1}{2\sqrt{1}}=\dfrac12 で一致し,共通接線であることが確認できる)であるから,接線 ll はy−1=12(x−2)すなわちl: y=12x.\displaystyle y-1=\frac12(x-2)\quad\text{すなわち}\quad l:\ y=\frac12 x.

(2)

2曲線の共有点の xx 座標は x≧1x\ge 1 を満たす必要がある。x≧1x\ge 1 でh(x):=f(x)−g(x)=(1−log⁡2)+log⁡x−x−1h(x):=f(x)-g(x)=(1-\log 2)+\log x-\sqrt{x-1}とおく。hh は x≧1x\ge1 の範囲で連続,x>1x>1 の範囲で微分可能でh′(x)=1x−12x−1(x>1).\displaystyle h'(x)=\frac{1}{x}-\frac{1}{2\sqrt{x-1}}\quad(x>1).

ここで u=x−1 (u>0, x=u2+1)u=\sqrt{x-1}\ (u>0,\ x=u^{2}+1) とおくと,恒等式 (u−1)2≧0(u-1)^{2}\ge 0 すなわち u2−2u+1≧0u^{2}-2u+1\ge 0 よりu2+1≧2uすなわちx≧2x−1,u^{2}+1\ge 2u\text{すなわち} x\ge 2\sqrt{x-1},等号は u=1u=1 すなわち x=2x=2 のときに限る。x>1x>1 で x>0x>0,2x−1>02\sqrt{x-1}>0 であるから,両辺の逆数をとると不等号の向きが反転して1x≦12x−1(等号は x=2 のときのみ).\displaystyle \frac{1}{x}\le\frac{1}{2\sqrt{x-1}}\quad\text{(等号は $x=2$ のときのみ)}.h(2)=f(2)−g(2)=1−1=0h(2)=f(2)-g(2)=1-1=0 である。x>1x>1 とし,u=x−1>0u=\sqrt{x-1}>0 とおくと x=u2+1x=u^2+1 だから,h′(x)=1x−12x−1=2u−(u2+1)2xu=−(u−1)22xu≦0.\displaystyle h'(x)=\frac1x-\frac1{2\sqrt{x-1}}=\frac{2u-(u^2+1)}{2xu}=-\frac{(u-1)^2}{2xu}\le0.分母は正であり,等号は u=1u=1,すなわち x=2x=2 のときだけである。1≦x<21\le x<2 では,h(t)h(t) は x≦t≦2x\le t\le2 で連続、x<t<2x<t<2 で微分可能なので,平均値の定理により x<c<2x<c<2 を満たす cc が存在して h(2)−h(x)=h′(c)(2−x)h(2)-h(x)=h'(c)(2-x) となる。1<c<21<c<2 だから h′(c)<0h'(c)<0 であり,h(2)−h(x)<0h(2)-h(x)<0,したがって h(x)>0h(x)>0 である。また x>2x>2 では,平均値の定理により 2<c<x2<c<x を満たす cc が存在して h(x)−h(2)=h′(c)(x−2)h(x)-h(2)=h'(c)(x-2) となる。c>2c>2 だから h′(c)<0h'(c)<0 であり,h(x)−h(2)<0h(x)-h(2)<0,したがって h(x)<0h(x)<0 である。以上より,h(x)=0h(x)=0 となるのは x=2x=2 のみである。よって2曲線の共有点は P(2,1)P(2,1) だけである。

(3)

まず各曲線と xx 軸との交点を求める。g(1)=0g(1)=0 であるから gg は x=1x=1 で xx 軸と交わる(gg の定義域の左端)。f(x)=0f(x)=0 を解くとa+log⁡x=0すなわちlog⁡x=−a=log⁡2−1すなわちx=elog⁡2−1=2e.\displaystyle a+\log x=0\text{すなわち} \log x=-a=\log 2-1\text{すなわち} x=e^{\log 2-1}=\frac{2}{e}.e>2e>2 より 0<2e<1\displaystyle 0<\dfrac{2}{e}<1 である。

(1)(2) より,h(x)=f(x)−g(x)h(x)=f(x)-g(x) は 1≦x≦21\le x\le2 の範囲で単調減少し h(1)=1−log⁡2>0h(1)=1-\log 2>0,h(2)=0h(2)=0 であるから,1≦x≦21\le x\le 2 で f(x)≧g(x)≧0f(x)\ge g(x)\ge 0 が成り立つ。また ff は単調増加で f(2/e)=0f(2/e)=0,f(1)=1−log⁡2>0f(1)=1-\log2>0 であるから,2/e≦x≦12/e\le x\le 1 で f(x)≧0f(x)\ge 0 である。

したがって「2曲線と xx 軸で囲まれた部分」は,xx 軸上の 2/e≦x≦12/e\le x\le1 の部分を下辺,y=f(x) (2/e≦x≦2)y=f(x)\ (2/e\le x\le 2) を上側の境界,y=g(x) (1≦x≦2)y=g(x)\ (1\le x\le 2) を下側(右寄り)の境界とする閉領域であり,その面積 SS はS=∫2/e1f(x) dx+∫12(f(x)−g(x)) dx=∫2/e2f(x) dx−∫12g(x) dx.\displaystyle S=\int_{2/e}^{1}f(x)\,dx+\int_{1}^{2}\bigl(f(x)-g(x)\bigr)\,dx=\int_{2/e}^{2}f(x)\,dx-\int_{1}^{2}g(x)\,dx.

【ff の原始関数】部分積分により∫log⁡x dx=xlog⁡x−∫x⋅1x dx=xlog⁡x−x+C\displaystyle \int \log x\,dx=x\log x-\int x\cdot\frac1x\,dx=x\log x-x+Cであるから∫f(x) dx=∫(a+log⁡x) dx=ax+xlog⁡x−x+C.\displaystyle \int f(x)\,dx=\int(a+\log x)\,dx=ax+x\log x-x+C.a=1−log⁡2a=1-\log2 を代入するとF(x):=ax+xlog⁡x−x=(a−1)x+xlog⁡x=−xlog⁡2+xlog⁡x=x(log⁡x−log⁡2)=xlog⁡x2\displaystyle F(x):=ax+x\log x-x=(a-1)x+x\log x=-x\log 2+x\log x=x(\log x-\log 2)=x\log\frac{x}{2}は ff の原始関数の一つである(実際 F′(x)=log⁡x2+x⋅1x=log⁡x2+1=log⁡x−log⁡2+1=f(x)\displaystyle F'(x)=\log\dfrac{x}{2}+x\cdot\dfrac1x=\log\dfrac{x}{2}+1=\log x-\log2+1=f(x))。

よって∫2/e2f(x) dx=F(2)−F ⁣(2e).\displaystyle \int_{2/e}^{2}f(x)\,dx=F(2)-F\!\left(\frac{2}{e}\right).F(2)=2log⁡1=0F(2)=2\log 1=0。F ⁣(2e)=2elog⁡ ⁣(1e)=2e⋅(−1)=−2e\displaystyle F\!\left(\dfrac{2}{e}\right)=\dfrac{2}{e}\log\!\left(\dfrac{1}{e}\right)=\dfrac{2}{e}\cdot(-1)=-\dfrac{2}{e}。したがって∫2/e2f(x) dx=0−(−2e)=2e.\displaystyle \int_{2/e}^{2}f(x)\,dx=0-\left(-\frac{2}{e}\right)=\frac{2}{e}.

【gg の定積分】u=x−1u=x-1 と置換すると du=dxdu=dx,x:1→2x:1\to2 に対し u:0→1u:0\to1 であるから∫12g(x) dx=∫12x−1 dx=∫01u du=[23u3/2]01=23.\displaystyle \int_{1}^{2}g(x)\,dx=\int_{1}^{2}\sqrt{x-1}\,dx=\int_{0}^{1}\sqrt{u}\,du=\left[\frac{2}{3}u^{3/2}\right]_{0}^{1}=\frac{2}{3}.

以上よりS=2e−23=6−2e3e.\displaystyle S=\frac{2}{e}-\frac{2}{3}=\frac{6-2e}{3e}.数値的にも 2/e≈0.7358>2/3≈0.66672/e\approx0.7358>2/3\approx0.6667 より S≈0.069>0S\approx0.069>0 であり,2曲線が PP で接する(極めて接近する)ことと整合する妥当な結果である。

この問題で使う考え方

  • 対数とその性質
  • 指数・対数関数の微分
  • 曲線の接線

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