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日本医科大学/2019年度/前期

日本医科大学 2019年 数学 第IV問解答・解説

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1問題

日本医科大学2019年度第IV問

関数 f(x)f(x) は2回微分可能で,その2次までの導関数 f′(x),f′′(x)f'(x),f''(x) はいずれも連続とし,すべての実数 xx に対して f′′(x)≧0f''(x)\geq0 を満たすとする。xyxy 平面上の曲線 C:y=f(x)C:y=f(x) 上の点 P(t,f(t))P(t,f(t)) における法線上に点 Q(a,b)Q(a,b) を PQ=1PQ=1,b<f(t)b<f(t) を満たすようにとるとき,以下の各問いに答えよ。

問1 PQ→\overrightarrow{PQ} を求めよ。答えのみでよい。

問2 a,ba,b を tt の式で表せ。答えのみでよい。

問3 問2の a,ba,b をそれぞれ a(t),b(t)a(t),b(t) と表すとき,b′(t)=f′(t)a′(t)b'(t)=f'(t)a'(t) が成り立つことを示せ。

問4 T1,T2T_1,T_2 は T1<T2T_1<T_2 を満たす実数とする。tt が T1T_1 から T2T_2 まで変化するときに,2点 P,QP,Q が描く曲線の長さをそれぞれ LP(T1,T2),LQ(T1,T2)L_P(T_1,T_2),L_Q(T_1,T_2) で表す。LQ(T1,T2)L_Q(T_1,T_2) と LP(T1,T2)L_P(T_1,T_2) の差を ΔL(T1,T2)\Delta L(T_1,T_2) とする。

ΔL(T1,T2)=LQ(T1,T2)−LP(T1,T2)\displaystyle\Delta L(T_1,T_2)=L_Q(T_1,T_2)-L_P(T_1,T_2)

このとき次が成り立つことを示せ。

ΔL(T1,T2)=∫T1T2f′′(t)1+{f′(t)}2 dt\displaystyle\Delta L(T_1,T_2)=\int_{T_1}^{T_2}\frac{f''(t)}{1+\{f'(t)\}^2}\,dt

問5 問4までの結果を踏まえて,関数 f(x)=ex+e−x2\displaystyle f(x)=\frac{e^x+e^{-x}}{2} に対して,ΔL(T1,T2)\Delta L(T_1,T_2) において同時に T1→−∞T_1\to-\infty,T2→+∞T_2\to+\infty としたときの極限値

lim⁡T1→−∞, T2→+∞ΔL(T1,T2)\displaystyle\lim\limits _{T_1\to-\infty,\ T_2\to+\infty}\Delta L(T_1,T_2)

を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2解答

解答を見る答えはこの解答の中にあります

日本医科大学 2019 医学部前期 問題 IV

p=f′(t)p=f'(t)、W=1+p2W=\sqrt{1+p^2} とおく。接線方向ベクトルは (1,p)(1,p) であり、下向きの法線方向ベクトルは (p,−1)(p,-1) である。後者の長さは WW だから、長さ 11 の下向き単位法線ベクトルは (p/W,−1/W)(p/W,-1/W)。

問1

点 QQ は PP からこの向きに距離 11 だけ進んだ点なので

PQ→=(f′(t)1+{f′(t)}2,−11+{f′(t)}2).\displaystyle \boxed{\overrightarrow{PQ} =\left(\frac{f'(t)}{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}}, -\frac{1}{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}}\right)}.

問2

P(t,f(t))P(t,f(t)) に問1のベクトルを加えると

a(t)=t+f′(t)1+{f′(t)}2,b(t)=f(t)−11+{f′(t)}2.\displaystyle \boxed{a(t)=t+\frac{f'(t)}{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}}, \qquad b(t)=f(t)-\frac{1}{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}}}.

問3

p=f′(t)p=f'(t)、p′=f′′(t)p'=f''(t)、W=1+p2W=\sqrt{1+p^2} とする。問2を微分すると

a′(t)=1+p′W3,b′(t)=p+p p′W3.\displaystyle a'(t)=1+\frac{p'}{W^3}, \qquad b'(t)=p+\frac{p\,p'}{W^3}.

実際、ddt(p/W)=p′/W3\displaystyle \frac{d}{dt}(p/W)=p'/W^3 および ddt(−1/W)=pp′/W3\displaystyle \frac{d}{dt}(-1/W)=pp'/W^3 である。従って

b′(t)=p(1+p′W3)=f′(t)a′(t),\displaystyle b'(t)=p\left(1+\frac{p'}{W^3}\right) =f'(t)a'(t),

すなわち

b′(t)=f′(t)a′(t).\boxed{b'(t)=f'(t)a'(t)}.

問4

f′′(t)≧0f''(t)\ge0 から

a′(t)=1+f′′(t)(1+{f′(t)}2)3/2≧1.\displaystyle a'(t)=1+\frac{f''(t)}{(1+\{f'(t)\}^2)^{3/2}}\ge1.

曲線 PP と QQ の速さはそれぞれ

∣P′(t)∣=1+{f′(t)}2,|P'(t)|=\sqrt{1+\{f'(t)\}^2},

∣Q′(t)∣={a′(t)}2+{b′(t)}2=a′(t)1+{f′(t)}2,|Q'(t)|=\sqrt{\{a'(t)\}^2+\{b'(t)\}^2} =a'(t)\sqrt{1+\{f'(t)\}^2},

である。ここでは b′=f′a′b'=f'a' と a′≧1a'\ge1 を用いた。よって

ΔL(T1,T2)=∫T1T2(∣Q′(t)∣−∣P′(t)∣) dt=∫T1T2(a′(t)−1)1+{f′(t)}2 dt=∫T1T2f′′(t)1+{f′(t)}2 dt.\displaystyle \begin{aligned} \Delta L(T_1,T_2) &=\int_{T_1}^{T_2}\bigl(|Q'(t)|-|P'(t)|\bigr)\,dt\\ &=\int_{T_1}^{T_2}(a'(t)-1)\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}\,dt\\ &=\boxed{\int_{T_1}^{T_2} \frac{f''(t)}{1+\{f'(t)\}^2}\,dt}. \end{aligned}

最後の等式は問3の a′−1=f′′/(1+{f′}2)3/2a'-1=f''/(1+\{f'\}^2)^{3/2} を代入したものである。

問5

f(x)=(ex+e−x)/2=cosh⁡xf(x)=(e^x+e^{-x})/2=\cosh x なら f′(t)=sinh⁡tf'(t)=\sinh t、f′′(t)=cosh⁡tf''(t)=\cosh t。問4の式から

ΔL(T1,T2)=∫T1T2cosh⁡t1+sinh⁡2t dt.\displaystyle \Delta L(T_1,T_2) =\int_{T_1}^{T_2}\frac{\cosh t}{1+\sinh^2t}\,dt.

u=sinh⁡tu=\sinh t と置換すると du=cosh⁡t dtdu=\cosh t\,dt だから

ΔL(T1,T2)=arctan⁡(sinh⁡T2)−arctan⁡(sinh⁡T1).\Delta L(T_1,T_2) =\arctan(\sinh T_2)-\arctan(\sinh T_1).

T2→+∞T_2\to+\infty で sinh⁡T2→+∞\sinh T_2\to+\infty、T1→−∞T_1\to-\infty で sinh⁡T1→−∞\sinh T_1\to-\infty。従って

lim⁡T1→−∞T2→+∞ΔL(T1,T2)=π2−(−π2)=π.\displaystyle \boxed{\lim\limits _{\substack{T_1\to-\infty\\T_2\to+\infty}} \Delta L(T_1,T_2)=\frac{\pi}{2}-\left(-\frac{\pi}{2}\right)=\pi}.

最終結果・解法・確認事項

- 問1:PQ→=(f′(t)1+{f′(t)}2,−11+{f′(t)}2)\displaystyle\overrightarrow{PQ}=\left(\frac{f'(t)}{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}},-\frac1{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}}\right)。 - 問2:a=t+f′1+{f′}2, b=f−11+{f′}2\displaystyle a=t+\frac{f'}{\sqrt{1+\{f'\}^2}},\ b=f-\frac1{\sqrt{1+\{f'\}^2}}。 - 問3:b′=f′a′b'=f'a'。 - 問4:ΔL=∫T1T2f′′(t)1+{f′(t)}2 dt\displaystyle\Delta L=\int_{T_1}^{T_2}\frac{f''(t)}{1+\{f'(t)\}^2}\,dt。 - 問5:極限は π\pi。 - 解法:接線・法線ベクトル、微分、曲線の速さによる弧長、置換積分。 - 定義域:問4ではT1≦t≦T2T_1\le t\le T_2 の範囲の C2C^2 関数を用いた。問5の広義積分は逆正接の極限で評価した。 - issues:なし。

この問題で使う考え方

  • 曲線の接線
  • ベクトルの成分表示
  • 合成関数の微分
  • 商の微分
  • 曲線の長さ
  • 置換積分法
  • 関数の極限

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