日本医科大学 2019 医学部前期 問題 IV
p=f′(t)、W=1+p2 とおく。接線方向ベクトルは (1,p) であり、下向きの法線方向ベクトルは (p,−1) である。後者の長さは W だから、長さ 1 の下向き単位法線ベクトルは (p/W,−1/W)。
問1
点 Q は P からこの向きに距離 1 だけ進んだ点なので
PQ=(1+{f′(t)}2f′(t),−1+{f′(t)}21).
問2
P(t,f(t)) に問1のベクトルを加えると
a(t)=t+1+{f′(t)}2f′(t),b(t)=f(t)−1+{f′(t)}21.
問3
p=f′(t)、p′=f′′(t)、W=1+p2 とする。問2を微分すると
a′(t)=1+W3p′,b′(t)=p+W3pp′.
実際、dtd(p/W)=p′/W3 および dtd(−1/W)=pp′/W3 である。従って
b′(t)=p(1+W3p′)=f′(t)a′(t),
すなわち
b′(t)=f′(t)a′(t).
問4
f′′(t)≧0 から
a′(t)=1+(1+{f′(t)}2)3/2f′′(t)≧1.
曲線 P と Q の速さはそれぞれ
∣P′(t)∣=1+{f′(t)}2,
∣Q′(t)∣={a′(t)}2+{b′(t)}2=a′(t)1+{f′(t)}2,
である。ここでは b′=f′a′ と a′≧1 を用いた。よって
ΔL(T1,T2)=∫T1T2(∣Q′(t)∣−∣P′(t)∣)dt=∫T1T2(a′(t)−1)1+{f′(t)}2dt=∫T1T21+{f′(t)}2f′′(t)dt.
最後の等式は問3の a′−1=f′′/(1+{f′}2)3/2 を代入したものである。
問5
f(x)=(ex+e−x)/2=coshx なら f′(t)=sinht、f′′(t)=cosht。問4の式から
ΔL(T1,T2)=∫T1T21+sinh2tcoshtdt.
u=sinht と置換すると du=coshtdt だから
ΔL(T1,T2)=arctan(sinhT2)−arctan(sinhT1).
T2→+∞ で sinhT2→+∞、T1→−∞ で sinhT1→−∞。従って
T1→−∞T2→+∞limΔL(T1,T2)=2π−(−2π)=π.
最終結果・解法・確認事項
- 問1:PQ=(1+{f′(t)}2f′(t),−1+{f′(t)}21)。 - 問2:a=t+1+{f′}2f′, b=f−1+{f′}21。 - 問3:b′=f′a′。 - 問4:ΔL=∫T1T21+{f′(t)}2f′′(t)dt。 - 問5:極限は π。 - 解法:接線・法線ベクトル、微分、曲線の速さによる弧長、置換積分。 - 定義域:問4ではT1≦t≦T2 の範囲の C2 関数を用いた。問5の広義積分は逆正接の極限で評価した。 - issues:なし。