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島根大学/2014年度/前期

島根大学 2014年 数学 第4問解答・解説

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1問題

島根大学2014年度第4問

E=(1001),O=(0000)E=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix},\quad O=\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix} とおく。xx を実数とし、行列 X=(3x−12x−1−3x+2−2x+2)X=\begin{pmatrix} 3x-1&2x-1\\ -3x+2&-2x+2 \end{pmatrix} を定める。このとき、次の問いに答えよ。

(1) 自然数 nn に対して XX の nn 乗を Xn=(Pn(x)Qn(x)Rn(x)Sn(x))X^{n}=\begin{pmatrix}P_{n}(x)&Q_{n}(x)\\R_{n}(x)&S_{n}(x)\end{pmatrix} とおく。このとき、すべての nn に対して、x=12\displaystyle x=\frac{1}{2} のとき Qn(x)=0Q_{n}(x)=0 であることを示せ。また、すべての nn に対して、x=23\displaystyle x=\frac{2}{3} のとき Rn(x)=0R_{n}(x)=0 であることを示せ。

(2) aa と bb は定数とする。このとき、X2+aX+bE=OX^{2}+aX+bE=O をみたす実数 xx が存在するための a,ba,b の条件を求めよ。

(3) X3=OX^{3}=O をみたす実数 xx は存在しないことを証明せよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) Qn(12)=0,Rn(23)=0\displaystyle Q_n(\frac12)=0,\quad R_n(\frac23)=0(すべての自然数 n)。(2) 実数 a,b について a+b+1=0a+b+1=0。(3) X3=OX^3=O をみたす実数 x は存在しない。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

解答

XX を成分ごとに掛けると X2=(3x2+x−12x2+x−1−3x2−x+2−2x2−x+2).(1)X^2=\begin{pmatrix} 3x^2+x-1&2x^2+x-1\\ -3x^2-x+2&-2x^2-x+2 \end{pmatrix}. \tag{1}

(1) x=12\displaystyle x=\frac12 のとき X=(120121).\displaystyle X=\begin{pmatrix}\frac12&0\\\frac12&1\end{pmatrix}. n=1n=1 では Q1(12)=0\displaystyle Q_1(\frac12)=0 である。Xn=(Pn0RnSn)X^n=\begin{pmatrix}P_n&0\\R_n&S_n\end{pmatrix} と仮定すると、右から XX を掛けて Xn+1=(Pn/20(Rn+Sn)/2Sn)X^{n+1}=\begin{pmatrix}P_n/2&0\\(R_n+S_n)/2&S_n\end{pmatrix} となるので Qn+1(12)=0\displaystyle Q_{n+1}(\frac12)=0 である。よって帰納法によりすべての自然数 nn で Qn(12)=0\displaystyle Q_n(\frac12)=0。

x=23\displaystyle x=\frac23 のとき X=(113023).\displaystyle X=\begin{pmatrix}1&\frac13\\0&\frac23\end{pmatrix}. n=1n=1 では R1(23)=0\displaystyle R_1(\frac23)=0 である。Xn=(PnQn0Sn)X^n=\begin{pmatrix}P_n&Q_n\\0&S_n\end{pmatrix} と仮定すると Xn+1=(PnPn/3+2Qn/302Sn/3)X^{n+1}=\begin{pmatrix}P_n&P_n/3+2Q_n/3\\0&2S_n/3\end{pmatrix} となるので Rn+1(23)=0\displaystyle R_{n+1}(\frac23)=0 である。したがって帰納法によりすべての自然数 nn で Rn(23)=0\displaystyle R_n(\frac23)=0。なお 00 を自然数に含める約束でも、X0=EX^0=E の非対角成分は 00 である。

(2) (1) から、X2+aX+bEX^2+aX+bE の非対角成分は (2x−1)(x+a+1),(−3x+2)(x+a+1)(2x-1)(x+a+1),\qquad (-3x+2)(x+a+1) である。2x−12x-1 と −3x+2-3x+2 は同時に 00 にはならない(前者が 00 なら x=12\displaystyle x=\frac12、後者が 00 なら x=23\displaystyle x=\frac23)。よって行列が OO となるには x+a+1=0x+a+1=0 が必要である。このとき対角成分はともに b−xb-x となるから、さらに b=xb=x が必要である。したがって必要条件は a+b+1=0a+b+1=0。

逆に a+b+1=0a+b+1=0 なら x=bx=b とおくと x+a+1=0x+a+1=0 かつ b−x=0b-x=0 であり、非対角成分・対角成分がすべて 00 となる。ゆえに求める条件は a+b+1=0(a,b は実数).\boxed{a+b+1=0}\qquad(a,b\text{ は実数}).

(3) (1) を用い、X3=X2XX^3=X^2X の非対角成分を直接計算すると (X3)12=(3x2+x−1)(2x−1)+(2x2+x−1)(−2x+2)=2x3+x2+x−1=(2x−1)(x2+x+1),(X3)21=(−3x2−x+2)(3x−1)+(−2x2−x+2)(−3x+2)=−3x3−x2−x+2=(−3x+2)(x2+x+1).\begin{aligned} (X^3)_{12}&=(3x^2+x-1)(2x-1)+(2x^2+x-1)(-2x+2)\\ &=2x^3+x^2+x-1=(2x-1)(x^2+x+1),\\[2mm] (X^3)_{21}&=(-3x^2-x+2)(3x-1)+(-2x^2-x+2)(-3x+2)\\ &=-3x^3-x^2-x+2=(-3x+2)(x^2+x+1). \end{aligned} ここで x2+x+1=(x+12)2+34>0\displaystyle x^2+x+1=(x+\frac12)^2+\frac34>0 はすべての実数 xx で成り立つ。もし X3=OX^3=O なら両非対角成分も 00 なので 2x−1=02x-1=0 と −3x+2=0-3x+2=0 が同時に成り立たなければならないが、前者は x=12\displaystyle x=\frac12、後者は x=23\displaystyle x=\frac23 を与え、矛盾する。したがって X3=OX^3=O をみたす実数 xx は存在しない。

検算 (2) の条件では x=bx=b と選べば X2+aX+bEX^2+aX+bE の各成分が 00 となる。(3) では x2+x+1x^2+x+1 が常に正で、二つの非対角成分を同時に 00 にできないことを確認した。

この問題で使う考え方

  • 数学的帰納法
  • 行列を用いた表現

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