(1)正五角形の各内角は、内角の和が 3×180∘=540∘ であることから 108∘ である。また、外接円の隣り合う頂点に対する中心角は 360∘/5=72∘ である。
(i) ∠AEB は弧 AB に対する円周角、∠BEC は弧 BC に対する円周角である。AB=BC だからこれらの弧は等しく、したがって ∠AEB=∠BEC=36∘. 正五角形の対角線はすべて等しいので BE=CE である。よって二等辺三角形 BCE の底角は ∠EBC=∠BCE=2180∘−36∘=72∘. 一方、∠BCD=108∘ だから ∠EBC+∠BCD=180∘ である。直線 BC を横切る直線 BE,CD の同側内角の和が 180∘ なので、BE∥CD である。
(ii) 対角線の長さを d とする。P を対角線 AC と BE の交点とする。対角線どうしは正五角形の内部で交わるので、A,P,C はこの順に一直線上にある。
AB=BC=1、AB=AE、AB=BC より、二等辺三角形 ABE の底角と二等辺三角形 ABC の底角はいずれも 36∘ である。したがって △ABP の角は 36∘,36∘,108∘ となり、△ABE と相似である。対応を A↔E,B↔B,P↔A とすると、AB=1 は EB=d に対応するから、相似比は 1/d であり、AP=AE/d=1/d である。
また、△BCP では ∠BCP=∠BCA=36∘、∠CBP=∠CBE=72∘ である。よって △BCP∼△BCE(対応は B↔B,C↔E,P↔C)である。BC=1 は BE=d に対応するので、相似比は 1/d であり、CP=CE/d=1 となる。ゆえに d=AC=AP+PC=d1+1,d2−d−1=0. d>0 だから d=21+5 であり、CE=d=21+5 である。
AF⊥CD かつ BE∥CD より AF⊥BE である。したがって F は二等辺三角形 ABE の底辺 BE への垂線の足であり、BF=BE/2=d/2 である。直角三角形 ABF に三平方の定理を用いると AF2=AB2−BF2=1−4d2=1−83+5=85−5. AF>0 より AF=410−25 である。
(2)ϕ=21+5 とおく。P は実係数多項式だから、iϕ が解ならその共役 −iϕ も解である。この二点 (0,ϕ),(0,−ϕ) を結ぶ弦の垂直二等分線は実軸なので、正五角形の中心を O=(h,0) と書ける。外接円の半径を R とすると、この弦の中点は原点である。
二頂点の中心角は、隣り合う場合の 72∘ または一頂点を隔てる場合の 144∘ のいずれかである。中心角を δ とすれば、弦の中点までの距離から ∣h∣=Rcos(δ/2) である。まず δ=72∘ とすると、h>0 の場合、弦の端点は O から見て 144∘,216∘ の方向にあり、残る頂点は 0∘,72∘,288∘ の方向にある。この三点の実部はすべて正で、負の実部をもつ頂点はない。h<0 の場合は端点が 36∘,324∘、残る頂点が 108∘,180∘,252∘ の方向にあり、残る三点の実部がすべて負となる。いずれも「実部が負となる解がただ一つ」に反する。
したがって δ=144∘ である。このとき h<0 なら、端点以外の方向は 0∘,144∘,216∘ で、後二点の実部が負となるため、負の実部の解が二つある。ゆえに h>0 でなければならない。この場合、頂点の方向は 36∘,108∘,180∘,252∘,324∘ であり、iϕ,−iϕ はそれぞれ 108∘,252∘ の位置にある。残る頂点を r,u+iv,u−iv と書くと、r<0、u>0、v>0 であり、方向から r は 108∘,252∘ の両頂点に隣接し、u±iv は互いに隣接し、u+iv は iϕ に隣接する。
(1) で求めた対角線と辺の比は ϕ である。いま対角線 iϕ と −iϕ の長さは 2ϕ だから、正五角形の辺の長さは 2 である。隣り合う u+iv,u−iv の距離は 2v なので 2v=2、よって v=1 である。また、隣り合う r と iϕ の距離、および u+i と iϕ の距離はいずれも辺の長さ 2 であるから r2+ϕ2=4,u2+(ϕ−1)2=4. r<0,u>0 と ϕ2=23+5、(ϕ−1)2=23−5 より r=−25−5=−210−25,u=25+5. 検算として、得られた座標は r2+ϕ2=4,u2+(ϕ−1)2=4,∣(u+i)−(u−i)∣=2 を満たす。すなわち、頂点の順に隣り合う点どうしの距離はすべて辺長 2 である。また r<0,u>0 なので負の実部をもつ解は r の一つだけであり、指定された iϕ も含まれている。
したがって解は iϕ,−iϕ,r,u+i,u−i である。五頂点は相異なる五根であり、P は五次式だから、これらがすべての根である。よって、実数係数であることを確認しながら共役な二根ずつをまとめると P(x)=c(x−iϕ)(x+iϕ)(x−r)(x−u−i)(x−u+i)=c(x2+23+5)(x+210−25)(x2−10+25x+27+5), ただし c は 0 でない実数である。最後の式の三因子は順に根 ±iϕ、r、u±i をもち、実係数であり、与えられた五頂点を過不足なく根にもつので、求める実数範囲での因数分解である。