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横浜市立大学/2009年度/前期

横浜市立大学 2009年 数学 第II問解答・解説

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1問題

横浜市立大学2009年度第II問

X,Yをそれぞれ成分が負でない整数からなる2×22\times2行列とし,A=(9432),B=(10221)A=\begin{pmatrix}9&4\\3&2\end{pmatrix},\qquad B=\begin{pmatrix}10&2\\2&1\end{pmatrix} とおく。以下の問いに答えよ。

(1) Xを X=(abcd)X=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} とする。YX=AYX=A ならば a≦9a\leq9 であることを示せ。特に,c=0c=0 ならば aa は1または3であることを示せ。

(2) BX=XABX=XA となるための必要十分条件は a=3b−2c,d=2b−4ca=3b-2c,\qquad d=2b-4c であることを示せ。

(3) 二つの等式 YX=A,XY=BYX=A,\qquad XY=B を同時に満たすXおよびYは存在しないことを示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)
    a≦9。c=0c=0ならa=1a=1または3
  • (2)
    BX=XAiffa=3b−2c,d=2b−4cBX=XA iff a=3b−2c, d=2b−4c
  • (3)
    YX=AYX=AとXY=BXY=Bを満たす非負整数行列X,Yは存在しない

3解答

解答を見る途中式つきの解答

Y=(pqrs)Y=\begin{pmatrix}p&q\\r&s\end{pmatrix} とおく。成分を比較すると、YX=AYX=A より pa+qc=9,pb+qd=4,ra+sc=3,rb+sd=2pa+qc=9,\quad pb+qd=4,\quad ra+sc=3,\quad rb+sd=2 を得る。

まず、p≧1p\ge1 なら pa≦pa+qc=9pa\le pa+qc=9 だから a≦9a\le9 である。p=0p=0 のときは qc=9, qd=4qc=9,\ qd=4 であるから、qq は9と4の正の公約数であり、q=1, c=9, d=4q=1,\ c=9,\ d=4 となる。このとき ra+9s=3ra+9s=3 なので s=0, ra=3s=0,\ ra=3 であり、a≦3a\le3。いずれの場合も a≦9a\le9 である。

さらに c=0c=0 なら、pa=9, ra=3pa=9,\ ra=3 である。したがって aa は9と3の正の公約数だから、a=1a=1 または a=3a=3 である。

次に、両辺を成分で計算すると BX=(10a+2c10b+2d2a+c2b+d),XA=(9a+3b4a+2b9c+3d4c+2d).BX=\begin{pmatrix}10a+2c&10b+2d\\2a+c&2b+d\end{pmatrix},\qquad XA=\begin{pmatrix}9a+3b&4a+2b\\9c+3d&4c+2d\end{pmatrix}. よって BX=XABX=XA なら、左上成分と右下成分を比較して a=3b−2c,d=2b−4ca=3b-2c,\qquad d=2b-4c を得る。逆にこの2式が成り立つとする。右上成分の差は (10b+2d)−(4a+2b)=2(4b+d−2a)=0,(10b+2d)-(4a+2b)=2(4b+d-2a)=0, 左下成分の差は (2a+c)−(9c+3d)=2a−8c−3d=0(2a+c)-(9c+3d)=2a-8c-3d=0 となる。いずれも上の2式を代入した結果である。したがって4成分がすべて一致し、これらは必要十分条件である。

最後に、YX=A, XY=BYX=A,\ XY=B を同時に満たすと仮定する。結合則より BX=(XY)X=X(YX)=XABX=(XY)X=X(YX)=XA であるから、すでに示した必要条件より a=3b−2c, d=2b−4ca=3b-2c,\ d=2b-4c。d≧0d\ge0 より b≧2cb\ge2c であり、t=b−2ct=b-2c とおけば tt は0以上の整数で、 b=t+2c,a=3t+4c,d=2tb=t+2c,\qquad a=3t+4c,\qquad d=2t となる。また YX=AYX=A から a≦9a\le9 である。

c=0c=0 のときは、(1)で示した条件から a=1a=1 または3である。一方 a=3ta=3t だから a=3, t=1a=3,\ t=1 であり、X=(3102)X=\begin{pmatrix}3&1\\0&2\end{pmatrix}。YX=AYX=A の左下成分から 3r=33r=3、右下成分から r+2s=2r+2s=2 となるので、r=1, s=12\displaystyle r=1,\ s=\frac12。これは ss が整数であることに反する。

c≧1c\ge1 のとき、3t+4c≦93t+4c\le9 を満たす可能性は (c,t)=(1,0),(1,1),(2,0)(c,t)=(1,0),(1,1),(2,0) に限られる。

・ (c,t)=(1,0)(c,t)=(1,0) なら X=(4210)X=\begin{pmatrix}4&2\\1&0\end{pmatrix}。YX=AYX=A の右下成分から 2r=22r=2、左下成分から 4r+s=34r+s=3 となり、r=1, s=−1r=1,\ s=-1。s≧0s\ge0 に反する。

・ (c,t)=(1,1)(c,t)=(1,1) なら X=(7312)X=\begin{pmatrix}7&3\\1&2\end{pmatrix}。YX=AYX=A の左上、右上成分から 7p+q=9, 3p+2q=47p+q=9,\ 3p+2q=4。前式と p,q≧0p,q\ge0 より p=0p=0 または1であるが、前者なら右辺左の式の左辺は18、後者なら7となり、いずれも4にならない。

・ (c,t)=(2,0)(c,t)=(2,0) なら X=(8420)X=\begin{pmatrix}8&4\\2&0\end{pmatrix}。YX=AYX=A の左上成分は 8p+2q=98p+2q=9 となるが、左辺は偶数であり矛盾する。

どの場合も矛盾する。したがって、YX=AYX=A と XY=BXY=B を同時に満たす非負整数行列 X,YX,Y は存在しない。

この問題で使う考え方

  • 行列積の成分比較
  • 必要十分条件の確認
  • 整数の有限場合分け

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