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広島大学/2004年度/前期

広島大学 2004年 数学 第3問解答・解説

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1問題

広島大学2004年度第3問

X,YX,Y はともに実数を成分とする2次の正方行列で{2X−Y=EXY=O\left\{\begin{array}{l}2X-Y=E\\XY=O\end{array}\right. を満たしているものとする。ただし,E,OE,O は,それぞれ2次の単位行列,零行列とする。X=(abcd)X=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix} とおくとき,次の問いに答えよ。

(1) XX が逆行列をもつとき,X,YX,Y を求めよ。

(2) XX が逆行列をもたないとき,(2a+2d−1)X(2a+2d-1)X を求めよ。

(3) XX は零行列でなく,かつ XX が逆行列をもたないとき,aa と dd を b,cb,c で表せ。ただし,b,cb,c は bc≦116\displaystyle bc\leq\frac{1}{16} を満たすものとする。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1)X=12E, Y=O.\displaystyle \quad X=\frac12E,\space{}Y=O.\qquad (2)(2a+2d−1)X=O.\quad (2a+2d-1)X=O.\qquad (3)q=1−16bc, (a,d)=(1+q4,1−q4)\displaystyle \quad q=\sqrt{1-16bc},\space{}(a,d)=\left(\frac{1+q}{4},\frac{1-q}{4}\right) or (1−q4,1+q4).\displaystyle \left(\frac{1-q}{4},\frac{1+q}{4}\right).

3解答

解答を見る途中式つきの解答

Y=2X-E なので、XY=O に代入すると 2X2−X=O2X^2-X=O を得る。s=2a+2d−1s=2a+2d-1 とおいて行列を直接計算すると 2X2−X=(2a2−a+2bcbscs2d2−d+2bc)=O.2X^2-X= \begin{pmatrix} 2a^2-a+2bc & bs\\ cs & 2d^2-d+2bc \end{pmatrix}=O. 対角成分の差は (a−d)s=0(a-d)s=0 である。

(1)  X が逆行列をもつ場合を考える。 もし s=0s=0 なら d=12−a\displaystyle d=\frac12-a であり、左上の成分の式から bc=a2−a2=a(12−a)=ad\displaystyle bc=\frac a2-a^2=a\left(\frac12-a\right)=ad となる。したがって XX は逆行列をもたない。実際、(a,b)≠(0,0)(a,b)\ne(0,0) なら非零ベクトル (−b,a)T(-b,a)^T が XX によって零ベクトルに移る。(a,b)=(0,0)(a,b)=(0,0) で X≠OX\ne O なら、非零ベクトル (d,−c)T(d,-c)^T が同じく零ベクトルに移る。X=OX=O の場合も逆行列はない。いずれも仮定に反するから s≠0s\ne0 である。

bs=cs=0bs=cs=0 より b=c=0b=c=0、また (a−d)s=0(a-d)s=0 より a=da=d である。左上の成分の式は a(2a−1)=0a(2a-1)=0 となる。逆行列をもつため a≠0a\ne0 なので a=d=12\displaystyle a=d=\frac12。よって X=12E,Y=2X−E=O.\displaystyle \boxed{X=\frac12E,\qquad Y=2X-E=O}.

(2)  X が逆行列をもたない場合を考える。 s=0s=0 なら直ちに sX=OsX=O である。s≠0s\ne0 なら bs=cs=0bs=cs=0 と (a−d)s=0(a-d)s=0 から b=c=0b=c=0、a=da=d を得る。従って X=aEX=aE であり、逆行列をもたないことから a=0a=0、すなわち X=OX=O である。この場合も sX=OsX=O である。以上より (2a+2d−1)X=O.\boxed{(2a+2d-1)X=O}.

(3)  X≠\ne O かつ逆行列をもたないので、(2)より s=0. 従って d=12−a\displaystyle d=\frac12-a である。左上成分の式は 2a2−a+2bc=02a^2-a+2bc=0 となる。条件 bc≦116\displaystyle bc\le\frac1{16} より q=1−16bcq=\sqrt{1-16bc} は実数であり、この二次方程式の解は a=1±q4,d=1∓q4.\displaystyle a=\frac{1\pm q}{4},\qquad d=\frac{1\mp q}{4}. すなわち (a,d)=(1+1−16bc4,1−1−16bc4) または (1−1−16bc4,1+1−16bc4).\displaystyle \boxed{(a,d)=\left(\frac{1+\sqrt{1-16bc}}4,\frac{1-\sqrt{1-16bc}}4\right) \text{ または } \left(\frac{1-\sqrt{1-16bc}}4,\frac{1+\sqrt{1-16bc}}4\right)}. これらは a+d=12\displaystyle a+d=\frac12、ad=bcad=bc を満たすので、行列方程式の各成分式もすべて成り立つ。また a+d=12≠0\displaystyle a+d=\frac12\ne0 だから X≠OX\ne O であり、逆行列をもたない。したがって、条件を満たす値はこの二通りで尽くされる。

この問題で使う考え方

  • 2次行列の積の成分計算
  • 核ベクトルを用いた逆行列の有無の判定
  • 二次方程式の解の公式
  • 平方根が実数となる条件

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