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鹿児島大学/2001年度/前期

鹿児島大学 2001年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2001年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答用紙の所定の欄に解答する問題の番号を記入すること。

5—1 行列 A=(−11−13)A=\begin{pmatrix}-1&1\\-1&3\end{pmatrix} について,以下の手順で AnA^n を求めよ。ただし,nn は自然数とする。

(1) x2−yz=1x^2-yz=1,x>0x>0 とする。行列 P=(xyzx)P=\begin{pmatrix}x&y\\z&x\end{pmatrix} が P−1(2102)P=AP^{-1}\begin{pmatrix}2&1\\0&2\end{pmatrix}P=A をみたすように x,y,zx,y,z を定めよ。

(2) (2102)n=(2nn2n−102n)\begin{pmatrix}2&1\\0&2\end{pmatrix}^{n}=\begin{pmatrix}2^n&n2^{n-1}\\0&2^n\end{pmatrix} であることを証明せよ。

(3) AnA^n を求めよ。

5—2 xyxy 平面において,原点 OO からの距離と直線 x=2x=2 からの距離の比が r:1\sqrt{r}:1 であるような点 PP について,次の各問に答えよ。

(1) 点 PP の軌跡を CC とするとき,曲線 CC の方程式を求めよ。

(2) r=2r=2 のとき,軌跡 CC はどのような図形になるか答え,その軌跡の概形を描け。

(3) 軌跡 CC が,長軸の長さが 5\sqrt{5} であるような楕円になるときの rr の値を求めよ。

5—3 関数 f(x)=x3−x2−x−1f(x)=x^3-x^2-x-1 について,次の各問に答えよ。

(1) 3次方程式 f(x)=0f(x)=0 の正の解の個数は1個であることを証明せよ。

(2) (1)の解をニュートン法で計算する式は xn+1=2xn3−xn2+13xn2−2xn−1(n=1,2,3,… )\displaystyle x_{n+1}=\frac{2x_n^3-x_n^2+1}{3x_n^2-2x_n-1}\quad(n=1,2,3,\dots) となることを証明せよ。

(3) この方程式の正の解の近似値を,ニュートン法を用いて計算する。f(32)\displaystyle f(\frac{3}{2}) と f(2)f(2) の絶対値 ∣f(32)∣\displaystyle |f(\frac{3}{2})|,∣f(2)∣|f(2)| の小さい方の xx の値 x1x_1 を求めよ。さらに,x1x_1 を初期値として,正の解の近似値 x2x_2 を求めよ。

5—4 確率変数 XX は,nn 個の値 1,2,…,n1,2,\ldots,n を等しい確率でとるものとする。このとき,次の各問に答えよ。

(1) 確率変数 XX の平均値と標準偏差を求めよ。

(2) 確率変数 Y=2X−1Y=2X-1 の平均値 mm と標準偏差 σ\sigma を求めよ。

(3) ∣Y−m∣<3σ|Y-m|<\sqrt{3}\sigma を証明せよ。ただし,n≧2n\geq2 とする。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

原本PDFに照合した固定副本を用い、5-1は2×2行列の成分計算と数学的帰納法、5-2は距離の座標表示と平方完成、5-3は導関数の符号・接線によるニュートン反復、5-4は有限和から求めた平均・分散で解いた。逆行列は成分積で、行列の累乗は帰納法で確認した。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 5-1(1):(x,y,z)=(1,0,−1),5-1(2):Bn=(2nn2n−102n),5-1(3):An=(2n−1(2−n)n2n−1−n2n−12n−1(n+2));5-2(1):x2+y2=r(x−2)2,5-2(2):(x−4)28−y28=1,5-2(3):r=15;5-3(1):正の解はただ1つ,5-3(2):xn+1=2xn3−xn2+13xn2−2xn−1,5-3(3):x1=2, x2=137;5-4(1):E[X]=n+12, σX=n2−123,5-4(2):m=n, σ=n2−13,5-4(3):∣Y−m∣<3σ.\displaystyle \begin{aligned} &5\text{-}1(1): (x,y,z)=(1,0,-1),\quad 5\text{-}1(2): B^n=\begin{pmatrix}2^n&n2^{n-1}\\0&2^n\end{pmatrix},\\ &5\text{-}1(3): A^n=\begin{pmatrix}2^{n-1}(2-n)&n2^{n-1}\\-n2^{n-1}&2^{n-1}(n+2)\end{pmatrix};\\ &5\text{-}2(1): x^2+y^2=r(x-2)^2,\quad 5\text{-}2(2): \frac{(x-4)^2}{8}-\frac{y^2}{8}=1,\\ &5\text{-}2(3): r=\frac15;\quad 5\text{-}3(1): \text{正の解はただ1つ},\\ &5\text{-}3(2): x_{n+1}=\frac{2x_n^3-x_n^2+1}{3x_n^2-2x_n-1},\quad 5\text{-}3(3): x_1=2,\space{}x_2=\frac{13}{7};\\ &5\text{-}4(1): E[X]=\frac{n+1}{2},\space{}\sigma_X=\frac{\sqrt{n^2-1}}{2\sqrt3},\\ &5\text{-}4(2): m=n,\space{}\sigma=\frac{\sqrt{n^2-1}}{\sqrt3},\quad 5\text{-}4(3): |Y-m|<\sqrt3\sigma. \end{aligned}

4解答

解答を見る途中式つきの解答

agraph{5-1(2)} Bn=(2nn2n−102n)B^n=\begin{pmatrix}2^n&n2^{n-1}\\0&2^n\end{pmatrix} を数学的帰納法で示す。n=1n=1 のとき右辺は BB そのものである。ある自然数 nn で成り立つと仮定すると、成分を掛けて Bn+1=BnB=(2nn2n−102n)(2102)=(2n+12n+n2n02n+1)=(2n+1(n+1)2n02n+1).B^{n+1}=B^nB =\begin{pmatrix}2^n&n2^{n-1}\\0&2^n\end{pmatrix} \begin{pmatrix}2&1\\0&2\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}2^{n+1}&2^n+n2^n\\0&2^{n+1}\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}2^{n+1}&(n+1)2^n\\0&2^{n+1}\end{pmatrix}. ゆえにすべての自然数 nn で成り立つ。

agraph{5-1(3)} (1)より A=P−1BPA=P^{-1}BP である。積を繰り返し、隣り合う PP−1=IPP^{-1}=I を成分計算で消去すれば An=P−1BnPA^n=P^{-1}B^nP となる。(1)、(2)の結果を用いると BnP=(2nn2n−102n)(10−11)=(2n−n2n−1n2n−1−2n2n),B^nP=\begin{pmatrix}2^n&n2^{n-1}\\0&2^n\end{pmatrix} \begin{pmatrix}1&0\\-1&1\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}2^n-n2^{n-1}&n2^{n-1}\\-2^n&2^n\end{pmatrix}, したがって An=(1011)BnP=(2n−1(2−n)n2n−1−n2n−12n−1(n+2)).A^n=\begin{pmatrix}1&0\\1&1\end{pmatrix}B^nP =\begin{pmatrix}2^{n-1}(2-n)&n2^{n-1}\\-n2^{n-1}&2^{n-1}(n+2)\end{pmatrix}. n=1n=1 を代入すると原本の AA に戻り、式を確認できる。

agraph{5-2(1)} P=(x,y)P=(x,y) とする。原点からの距離は x2+y2\sqrt{x^2+y^2}、直線 x=2x=2 からの距離は ∣x−2∣|x-2| である。距離の比が r:1\sqrt r:1 であることは、r≧0r\geq0 のもとで x2+y2=r ∣x−2∣\sqrt{x^2+y^2}=\sqrt r\,|x-2| と同値である。両辺は非負なので2乗しても同値性は保たれ、軌跡は x2+y2=r(x−2)2\boxed{x^2+y^2=r(x-2)^2} である。特に r=0r=0 なら CC は原点だけである。

agraph{5-2(2)} r=2r=2 を代入して平方完成すると x2+y2=2(x−2)2すなわち(x−4)2−y2=8すなわち(x−4)28−y28=1.\displaystyle x^2+y^2=2(x-2)^2 \quad\text{すなわち}\quad (x-4)^2-y^2=8 \quad\text{すなわち}\quad \frac{(x-4)^2}{8}-\frac{y^2}{8}=1. よって中心 (4,0)(4,0)、左右に開く双曲線であり、頂点は (4−22,0)(4-2\sqrt2,0)、(4+22,0)(4+2\sqrt2,0)、漸近線は y=±(x−4)y=\pm(x-4) である。左右対称かつ xx 軸対称にこの2本の漸近線へ近づくように描けば概形となる。

agraph{5-2(3)} 軌跡が楕円となるのは 0<r<10<r<1 のときである。(1)の式を展開し、xx について平方完成すると (1−r)(x+2r1−r)2+y2=4r1−r.\displaystyle (1-r)\left(x+\frac{2r}{1-r}\right)^2+y^2=\frac{4r}{1-r}. したがって標準形は (x+2r1−r)24r(1−r)2+y24r1−r=1.\displaystyle \frac{\left(x+\frac{2r}{1-r}\right)^2}{\frac{4r}{(1-r)^2}} +\frac{y^2}{\frac{4r}{1-r}}=1. 0<r<10<r<1 より 4r(1−r)2>4r1−r\displaystyle \frac{4r}{(1-r)^2}>\frac{4r}{1-r} なので長軸は xx 軸に平行で、長軸の長さは 24r(1−r)2=4r1−r.\displaystyle 2\sqrt{\frac{4r}{(1-r)^2}}=\frac{4\sqrt r}{1-r}. これが 5\sqrt5 だから、t=rt=\sqrt r(0<t<10<t<1)とおくと 4t1−t2=5,5t2+4t−5=0.\displaystyle \frac{4t}{1-t^2}=\sqrt5, \qquad \sqrt5t^2+4t-\sqrt5=0. 解は t=15\displaystyle t=\frac{1}{\sqrt5} または t=−5t=-\sqrt5 であり、条件を満たすのは前者である。よって r=15.\displaystyle \boxed{r=\frac15}.

agraph{5-3(1)} f′(x)=3x2−2x−1=(3x+1)(x−1).f'(x)=3x^2-2x-1=(3x+1)(x-1). 0<x<10<x<1 では f′(x)<0f'(x)<0 だから ff は減少し、f(0)=−1f(0)=-1、f(1)=−2f(1)=-2 よりこの区間に解はない。また x>1x>1 では f′(x)>0f'(x)>0 なので ff は増加する。f(1)=−2<0f(1)=-2<0、f(2)=1>0f(2)=1>0 であり、多項式関数の連続性から 1<x<21<x<2 の範囲に少なくとも1つ解がある。x>1x>1 で増加しているため、その解はただ1つである。したがって正の解は1個である。

agraph{5-3(2)} ニュートン法では、xnx_n における接線 y=f(xn)+f′(xn)(x−xn)y=f(x_n)+f'(x_n)(x-x_n) の xx 軸との交点を次の近似値とする。f′(xn)≠0f'(x_n)\ne0 のとき y=0y=0 とおいて xn+1=xn−f(xn)f′(xn)=xn−xn3−xn2−xn−13xn2−2xn−1.\displaystyle x_{n+1}=x_n-\frac{f(x_n)}{f'(x_n)} =x_n-\frac{x_n^3-x_n^2-x_n-1}{3x_n^2-2x_n-1}. 分子を整理すれば xn+1=xn(3xn2−2xn−1)−(xn3−xn2−xn−1)3xn2−2xn−1=2xn3−xn2+13xn2−2xn−1.\displaystyle x_{n+1}=\frac{x_n(3x_n^2-2x_n-1)-(x_n^3-x_n^2-x_n-1)}{3x_n^2-2x_n-1} =\boxed{\frac{2x_n^3-x_n^2+1}{3x_n^2-2x_n-1}}. この式は分母が0でない各段階で成り立つ。

agraph{5-3(3)} f(32)=278−188−128−88=−118,f(2)=8−4−2−1=1.\displaystyle f\left(\frac32\right)=\frac{27}{8}-\frac{18}{8}-\frac{12}{8}-\frac88=-\frac{11}{8}, \qquad f(2)=8-4-2-1=1. したがって ∣f(3/2)∣=11/8>1=∣f(2)∣|f(3/2)|=11/8>1=|f(2)| なので x1=2x_1=2 である。これを反復式に代入すると x2=2⋅23−22+13⋅22−2⋅2−1=137.\displaystyle x_2=\frac{2\cdot2^3-2^2+1}{3\cdot2^2-2\cdot2-1}=\boxed{\frac{13}{7}}. 確認として f′(2)=7≠0f'(2)=7\ne0 であり、f(13/7)=34/343f(13/7)=34/343 となる。

agraph{5-4(1)} XX は 1,2,…,n1,2,\ldots,n をそれぞれ確率 1/n1/n でとるので、和の公式から E[X]=1n∑k=1nk=n+12,E[X2]=1n∑k=1nk2=(n+1)(2n+1)6.\displaystyle E[X]=\frac1n\sum\limits _{k=1}^n k=\frac{n+1}{2},\qquad E[X^2]=\frac1n\sum\limits _{k=1}^n k^2=\frac{(n+1)(2n+1)}6. よって分散は V[X]=E[X2]−E[X]2=(n+1)(2n+1)6−(n+12)2=n2−112.\displaystyle V[X]=E[X^2]-E[X]^2 =\frac{(n+1)(2n+1)}6-\left(\frac{n+1}{2}\right)^2 =\frac{n^2-1}{12}. したがって平均値と標準偏差は E[X]=n+12,σX=n2−112=n2−123.\displaystyle \boxed{E[X]=\frac{n+1}{2}},\qquad \boxed{\sigma_X=\sqrt{\frac{n^2-1}{12}}=\frac{\sqrt{n^2-1}}{2\sqrt3}}.

agraph{5-4(2)} Y=2X−1Y=2X-1 だから、平均値 mm は m=E[Y]=2E[X]−1=n.m=E[Y]=2E[X]-1=n. また、Y−m=2(X−E[X])Y-m=2(X-E[X]) より V[Y]=4V[X]V[Y]=4V[X] である。したがって m=n,σ=V[Y]=2σX=n2−13=n2−13.\displaystyle \boxed{m=n},\qquad \boxed{\sigma=\sqrt{V[Y]}=2\sigma_X=\sqrt{\frac{n^2-1}{3}}=\frac{\sqrt{n^2-1}}{\sqrt3}}.

agraph{5-4(3)} X=kX=k(k=1,2,…,nk=1,2,\ldots,n)のとき Y=2k−1Y=2k-1 であり、m=nm=n だから −(n−1)≦Y−m=2k−1−n≦n−1.-(n-1)\leq Y-m=2k-1-n\leq n-1. ゆえに ∣Y−m∣≦n−1|Y-m|\leq n-1 である。一方、n≧2n\geq2 より (n−1)2<n2−1=3σ2,(n-1)^2<n^2-1=3\sigma^2, したがって n−1<3 σn-1<\sqrt3\,\sigma である。以上から ∣Y−m∣<3 σ.\boxed{|Y-m|<\sqrt3\,\sigma}.

この問題で使う考え方

  • 座標による距離
  • 軌跡
  • 導関数と増減
  • 多項式の導関数
  • 接線の方程式
  • 関数の連続性
  • 数学的帰納法
  • 確率変数と確率分布

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