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鹿児島大学/2008年度/前期

鹿児島大学 2008年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2008年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答用紙の所定の欄に,解答する問題の番号を記入すること。

5--1 行列 AA を, A=12(−1331)\displaystyle A=\frac{1}{2}\begin{pmatrix}-1&\sqrt{3}\\\sqrt{3}&1\end{pmatrix} により与え,xyxy 平面での yy 軸に関する点の対称移動を表す行列を BB とする。このとき,次の各問いに答えよ。

(1) nn を自然数とするとき,AnA^{n} を求めよ。

(2) 行列 ABAB は xyxy 平面の原点を中心とする角 θ (0∘≦θ≦360∘)\theta\ (0^{\circ}\leq\theta\leq360^{\circ}) の回転移動を表す行列である。θ\theta の値を求めよ。

(3) xyxy 平面の原点を中心とした 60∘60^{\circ} の回転移動を表す行列を CC とするとき,CnB=AnC^{n}B=A^{n} となる6以下の自然数 nn を求めよ。

5--2 極方程式 r=acos⁡θ (−π2≦θ≦π2)\displaystyle r=a\cos\theta\ \left(-\frac{\pi}{2}\leq\theta\leq\frac{\pi}{2}\right) で与えられる曲線を C1C_{1} とする。ただし,aa は正の定数である。このとき,次の各問いに答えよ。

(1) 曲線 C1C_{1} 上の点 PP と極 OO を結ぶ直線 OPOP の点 PP の側の延長上に PQ=aPQ=a となるように点 QQ をとる。点 PP が C1C_{1} 上を動くときの点 QQ の軌跡 C2C_{2} の極方程式を求めよ。

(2) (1)で求めた曲線 C2C_{2} 上の点 Q(r0,θ0)Q(r_{0},\theta_{0}) を通り,点 QQ と極 OO を結ぶ直線に垂直な直線を ll とする。直線 ll の直交座標 (x,y)(x,y) に関する方程式を求めよ。

(3) (2)で求めた直線 ll は,点 QQ に関係なく常に点 (a,0)(a,0) を中心とし半径が aa の円に接することを証明せよ。

5--3 1,2,3,41,2,3,4 の番号をつけた4枚のカードがある。この中からカードを1枚取り出し,そこに書かれている番号を見るという試行を繰り返す。ただし,取り出したカードはもとに戻さない。この試行は,取り出したカードに書かれた番号の合計が3の倍数になるか,または4枚全部を取り出したときに終了する。取り出したカードに書かれた番号の合計が3の倍数になったとき,この試行は成功したとよぶ。4枚全部を取り出したとき,この試行は失敗したとよぶ。この試行の得点 XX は,成功したときは取り出したカードの枚数とし,失敗したときは0点とする。このとき,次の各問いに答えよ。

(1) 確率 P(X=1)P(X=1) および P(X=2)P(X=2) を求めよ。

(2) この試行が成功する確率を求めよ。また,得点の平均(期待値)E(X)E(X) を求めよ。

(3) 取り出したカードに書かれた番号の和が6となる確率を求めよ。さらに,取り出したカードに書かれた番号の和が6であることが分かっているとき,X=3X=3 である条件つき確率を求めよ。

5--4 確率変数 ZZ が平均0,分散1の標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従うとするとき,P(Z>1.65)=0.05, P(Z>1.96)=0.025P(Z>1.65)=0.05,\ P(Z>1.96)=0.025 であるとして,次の各問いに答えよ。

(1) 確率変数 XX は平均65,分散 20220^{2} の正規分布 N(65,202)N(65,20^{2}) に従うとする。確率 P(X>c)P(X>c) が0.05となるような cc を求めよ。

(2) 母平均 mm,母分散 20220^{2} の母集団から大きさ100の無作為標本を抽出し,その標本平均を X‾\overline{X} とする。標本の大きさ100は十分大きい数であるとみなせるとする。このとき,X‾\overline{X} が近似的に従う確率分布を答えよ。また,母平均 mm の信頼度95%の信頼区間を X‾\overline{X} を用いて表せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2考え方

考え方を見る解き方の方針だけを確かめる

各小問を行列の成分計算、極座標と直交座標、停止条件を反映した順列の数え上げ、正規分布の標準化と標本平均の分散に分けて独立に解いた。

3答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 5-1(1)An={I2(n が偶数)A(n が奇数).\quad A^n=\begin{cases}I_2&(n\text{ が偶数})\\A&(n\text{ が奇数})\end{cases}.\quad 5-1(2)θ=300∘.\quad \theta=300^\circ.\quad 5-1(3)n=5.\quad n=5.\quad 5-2(1)r=a(1+cos⁡θ)  (−π2≦θ≦π2).\displaystyle \quad r=a(1+\cos\theta)\;(-\tfrac{\pi}{2}\leq\theta\leq\tfrac{\pi}{2}).\quad 5-2(2)xcos⁡θ0+ysin⁡θ0=r0=a(1+cos⁡θ0).\quad x\cos\theta_0+y\sin\theta_0=r_0=a(1+\cos\theta_0).\quad 5-2(3)d((a,0),l)=a\quad d((a,0),l)=a より接する..\quad 5-3(1)P(X=1)=14,  P(X=2)=13.\displaystyle \quad P(X=1)=\tfrac14,\;P(X=2)=\tfrac13.\quad 5-3(2)P(\quad P(成功)=34,  E(X)=1712.\displaystyle )=\tfrac34,\;E(X)=\tfrac{17}{12}.\quad 5-3(3)P(\quad P(和=6)=14,  P(X=3∣\displaystyle =6)=\tfrac14,\;P(X=3\mid和=6)=13.\displaystyle =6)=\tfrac13.\quad 5-4(1)c=98.\quad c=98.\quad 5-4(2)X‾\quad \overline{X} は近似的に N(m,22)N(m,2^2) に従い、信頼区間は [X‾−3.92,X‾+3.92].[\overline{X}-3.92,\overline{X}+3.92].

4解答

解答を見る途中式つきの解答

5-1

まず、具体的に計算すると A2=14(1+3−3+3−3+33+1)=I2.\displaystyle A^2=\frac14\begin{pmatrix}1+3&-\sqrt3+\sqrt3\\-\sqrt3+\sqrt3&3+1\end{pmatrix}=I_2. したがって、AnA^n はnn が偶数ならI2I_2、奇数ならAA である。 また、B=(−1001)B=\begin{pmatrix}-1&0\\0&1\end{pmatrix} より AB=12(13−31)=(cos⁡300∘−sin⁡300∘sin⁡300∘cos⁡300∘).\displaystyle AB=\frac12\begin{pmatrix}1&\sqrt3\\-\sqrt3&1\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\cos300^\circ&-\sin300^\circ\\\sin300^\circ&\cos300^\circ\end{pmatrix}. よってθ=300∘\theta=300^\circ。 C=(cos⁡60∘−sin⁡60∘sin⁡60∘cos⁡60∘)C=\begin{pmatrix}\cos60^\circ&-\sin60^\circ\\\sin60^\circ&\cos60^\circ\end{pmatrix} とする。nn が奇数ならAn=AA^n=A であり、CnB=AC^nB=A の両辺に右からBB をかけるとCn=AB=R300∘C^n=AB=R_{300^\circ} となる。したがって60∘n≡300∘(mod360∘)60^\circ n\equiv300^\circ\pmod{360^\circ}、1≦n≦61\leq n\leq6 よりn=5n=5。一方、nn が偶数なら同じ式からCn=BC^n=B が必要となるが、n=2,4,6n=2,4,6 に対するCnC^n はそれぞれ120∘,240∘,360∘120^\circ,240^\circ,360^\circ の回転行列であり、いずれもBB と異なる。よって求める値はn=5n=5 だけである。

5-2

PP の極座標を(acos⁡θ,θ)(a\cos\theta,\theta) とすると、QQ は同じ方向のPP の先にありPQ=aPQ=a だから、QQ の極座標は(acos⁡θ+a,θ)(a\cos\theta+a,\theta) である。よって C2:r=a(1+cos⁡θ),−π2≦θ≦π2.\displaystyle C_2:\quad r=a(1+\cos\theta),\qquad -\frac{\pi}{2}\leq\theta\leq\frac{\pi}{2}. Q(r0,θ0)Q(r_0,\theta_0) におけるOQOQ の方向の単位ベクトルは(cos⁡θ0,sin⁡θ0)(\cos\theta_0,\sin\theta_0) である。これが直線ll の法線ベクトルなので、ll の方程式は xcos⁡θ0+ysin⁡θ0=r0=a(1+cos⁡θ0).x\cos\theta_0+y\sin\theta_0=r_0=a(1+\cos\theta_0). この法線ベクトルの長さは11 である。直線の左辺に円の中心(a,0)(a,0) を代入した値はacos⁡θ0a\cos\theta_0 であり、右辺との差の絶対値はa(1+cos⁡θ0)−acos⁡θ0=aa(1+\cos\theta_0)-a\cos\theta_0=a である。したがって中心から直線ll までの距離はaa であり、半径aa の円に接する。

5-3

全てのカードの並べ方は4!=244!=24 通りで同様に確からしい。1枚目で合計が3の倍数となるのは最初が3の場合なのでP(X=1)=1/4P(X=1)=1/4。2枚で初めて合計が3の倍数になる順序付きの組は(1,2),(2,1),(2,4),(4,2)(1,2),(2,1),(2,4),(4,2) の4通りで、残り2枚の順序は各2通りある。よってP(X=2)=4⋅2/24=1/3P(X=2)=4\cdot2/24=1/3。 3枚で初めて成功する順序は(1,3,2),(2,3,1),(2,3,4),(4,3,2)(1,3,2),(2,3,1),(2,3,4),(4,3,2) の4通りである。従ってP(X=3)=4/24=1/6P(X=3)=4/24=1/6。4枚の合計は10で3の倍数ではないため、成功確率は P(成功)=14+13+16=34.\displaystyle P(\text{成功})=\frac14+\frac13+\frac16=\frac34. 失敗時の得点は0だから、 E(X)=1⋅14+2⋅13+3⋅16+0⋅14=1712.\displaystyle E(X)=1\cdot\frac14+2\cdot\frac13+3\cdot\frac16+0\cdot\frac14=\frac{17}{12}. 合計が6となるのは、2枚で(2,4),(4,2)(2,4),(4,2) を引いて終了する場合と、3枚で(1,3,2),(2,3,1)(1,3,2),(2,3,1) を引いて終了する場合である。前者は44 通りの全順列、後者は22 通りの全順列に対応するので P(和=6)=4+224=14.\displaystyle P(\text{和}=6)=\frac{4+2}{24}=\frac14. このうちX=3X=3 の場合は後者の22 通りであるから、 P(X=3∣和=6)=2/246/24=13.\displaystyle P(X=3\mid\text{和}=6)=\frac{2/24}{6/24}=\frac13.

5-4

Z=(X−65)/20Z=(X-65)/20 と標準化すると、 P(X>c)=P ⁣(Z>c−6520)=0.05.\displaystyle P(X>c)=P\!\left(Z>\frac{c-65}{20}\right)=0.05. 与えられた値より(c−65)/20=1.65(c-65)/20=1.65、したがってc=65+20⋅1.65=98c=65+20\cdot1.65=98。 標本平均X‾\overline X の平均はmm、分散は202/100=420^2/100=4 なので、標本サイズが十分大きいという条件のもとでX‾\overline X は近似的にN(m,4)=N(m,22)N(m,4)=N(m,2^2) に従う。標準化すると(X‾−m)/2(\overline X-m)/2 は近似的に標準正規分布に従う。標準正規分布の対称性とP(Z>1.96)=0.025P(Z>1.96)=0.025 から、中央の確率は0.95である。よって P ⁣(−1.96≦X‾−m2≦1.96)≃0.95,\displaystyle P\!\left(-1.96\leq\frac{\overline X-m}{2}\leq1.96\right)\simeq0.95, これをmm について整理すると、信頼度95%の信頼区間は、X‾−1.96⋅2≦m≦X‾+1.96⋅2\overline X-1.96\cdot2\le m\le\overline X+1.96\cdot2、すなわちX‾−3.92≦m≦X‾+3.92\overline X-3.92\le m\le\overline X+3.92 と表される。

この問題で使う考え方

  • 三角関数の相互関係
  • 直線の方程式
  • 座標による距離
  • 円の方程式
  • 確率の基本法則
  • 条件付き確率
  • 期待値
  • 正規分布

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