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鹿児島大学/2012年度/前期

鹿児島大学 2012年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2012年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答用紙の所定の欄に,解答する問題の番号を記入すること。

5−1  行列 A=(1−214)A=\begin{pmatrix}1&-2\\1&4\end{pmatrix} と自然数 nn について,次の各問いに答えよ。

(1) 次の等式を満たす α,β,p,q\alpha,\beta,p,q を求めよ。ただし,α<β\alpha<\beta とする。A(p1)=α(p1),A(q1)=β(q1)\displaystyle A\binom{p}{1}=\alpha\binom{p}{1},\qquad A\binom{q}{1}=\beta\binom{q}{1}

(2) (1)で求めた pp に対して An(p1)\displaystyle A^n\binom{p}{1} を求めよ。

(3) AnA^n を求めよ。

5−2  極方程式 r=a2+cos⁡θ\displaystyle r=\dfrac{a}{2+\cos\theta} で与えられる2次曲線がある。ただし,aa は正の定数とする。このとき次の各問いに答えよ。

(1) この2次曲線を直交座標 (x,y)(x,y) に関する方程式で表せ。

(2) (1)で求めた2次曲線を xx 軸方向に a3\displaystyle \dfrac{a}{3} だけ平行移動した2次曲線を CC で表す。CC を直交座標 x,yx,y の方程式で表せ。また,この2次曲線 CC は xx 軸と2点 A,BA,B で交わる。この2点 A,BA,B の座標を求めよ。ただし,BB の xx 座標は正とする。

(3) (2)で求めた2次曲線 CC 上の xx 軸上にない点 P(α,β)P(\alpha,\beta) から xx 軸に下ろした垂線を PHPH とする。さらに PP と xx 軸に関して対称な点を QQ とするとき,次の値は定数であることを証明せよ。PH⋅QHAH⋅BH\displaystyle \dfrac{\mathrm{PH}\cdot\mathrm{QH}}{\mathrm{AH}\cdot\mathrm{BH}}

5−3  1個買うごとに景品を1個もらえる商品がある。景品は全部で nn 種類あり,それぞれ1から nn までの番号がつけてある。また,1から nn までの数字が1つずつ記入された nn 枚のカードがある。nn 枚のカードは外から数字が見えない箱の中に入れてあり,購入した商品1個ごとに箱の中から1枚引いて数字を確認して景品と交換する。引いたカードは,そのつど箱に戻すものとする。もらえる景品の番号は,引いたカードの数字と同じ番号のものとする。このとき,次の各問いに答えよ。

(1) この商品を mm 個購入したとき,番号1の景品が少なくとも1個もらえる確率を求めよ。ただし,m>nm>n とする。

(2) この商品を nn 個購入したとき,全種類の景品がそろわない確率を求めよ。

(3) この商品を n+1n+1 個購入したとき,全種類の景品がもらえる確率を求めよ。

5−4  確率変数 ZZ が標準正規分布 N(0,1)N(0,1) に従うとき,P(Z>1.96)=0.025,P(Z>2.58)=0.005,2.581.96≐1.32\displaystyle P(Z>1.96)=0.025,\quad P(Z>2.58)=0.005,\quad \dfrac{2.58}{1.96}\doteq1.32であるとして,次の各問いに答えよ。

(1) 確率変数 XX のとる値 xx の範囲が −1≦x≦1-1\leq x\leq1 で,その確率密度関数が f(x)=k(1−x2)f(x)=k(1-x^2) で与えられている。このとき,定数 kk の値と XX の平均を求めよ。

(2) 母平均 mm,母標準偏差10の母集団から大きさ100の無作為標本を抽出し,その標本平均を Xˉ\bar{X} とする。標本の大きさ100は十分大きい数であるとみなせるとする。

(a) 標本平均 Xˉ\bar{X} を用いて,母平均 mm の信頼度95%の信頼区間を求めよ。

(b) 母平均 mm を信頼度99%の信頼区間を用いて区間推定するとき,信頼区間の幅を(a)で求めた幅より小さくするためには,標本の大きさ nn をいくつ以上にとればよいか求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 5−1: (α,β,p,q)=(2,3,−2,−1)(\alpha,\beta,p,q)=(2,3,-2,-1), An(p1)=2n(−21)\displaystyle A^n\binom{p}{1}=2^n\binom{-2}{1}, An=(2n+1−3n2n+1−2⋅3n3n−2n2⋅3n−2n)A^n=\begin{pmatrix}2^{n+1}-3^n&2^{n+1}-2\cdot3^n\\3^n-2^n&2\cdot3^n-2^n\end{pmatrix}。 5−2: 3x2+4y2+2ax−a2=03x^2+4y^2+2ax-a^2=0, C:3x2+4y2=4a23\displaystyle C:3x^2+4y^2=\frac{4a^2}{3}, A=(−2a3,0),B=(2a3,0)\displaystyle A=(-\frac{2a}{3},0),B=(\frac{2a}{3},0), ratio =34\displaystyle =\frac34。 5−3: (1) 1−(n−1n)m\displaystyle 1-\left(\frac{n-1}{n}\right)^m (2) 1−n!nn\displaystyle 1-\frac{n!}{n^n} (3) (n+1)n!2nn\displaystyle \frac{(n+1)n!}{2n^n}。 5−4: (1) k=34,E[X]=0\displaystyle k=\frac34,E[X]=0 (2)(a) [Xˉ−1.96,Xˉ+1.96][\bar X-1.96,\bar X+1.96] (b) n≧175n\ge175 using given ratio ≃1.32\simeq1.32; without that approximation the exact minimum from 2.58/1.962.58/1.96 is 174174。問題は4問から1問選択。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

原本では5−1、5−2、5−3、5−4の4問から一つを選ぶ指示である。検算のため以下に各問の解を示す。受験答案ではこのうち一問を選ぶ。

5−1. 行列

(1) A(t1)=(t−2,t+4)T\displaystyle A\binom{t}{1}=(t-2,t+4)^T なので、与えられた形の等式を満たす条件は t−2=λtt-2=\lambda t、t+4=λt+4=\lambda。これより t−2=t(t+4)と同値な式は(t+1)(t+2)=0.t-2=t(t+4)\quad\text{と同値な式は}\quad(t+1)(t+2)=0. (t,λ)=(−1,3),(−2,2)(t,\lambda)=(-1,3),(-2,2) である。α<β\alpha<\beta から α=2,β=3,p=−2,q=−1.\alpha=2,\quad\beta=3,\quad p=-2,\quad q=-1.

(2) A(−21)=2(−21)\displaystyle A\binom{-2}{1}=2\binom{-2}{1} だから、繰り返し作用させて An(p1)=2n(−21).\displaystyle A^n\binom{p}{1}=2^n\binom{-2}{1}.

(3) もう一つのベクトルは A(−11)=3(−11)\displaystyle A\binom{-1}{1}=3\binom{-1}{1} を満たす。任意の (x,y)T(x,y)^T は (xy)=(−x−y)(−21)+(x+2y)(−11)\displaystyle \binom{x}{y}=(-x-y)\binom{-2}{1}+(x+2y)\binom{-1}{1} と表せる。よって An(xy)=2n(−x−y)(−21)+3n(x+2y)(−11)=((2n+1−3n)x+(2n+1−2⋅3n)y(3n−2n)x+(2⋅3n−2n)y).\displaystyle A^n\binom{x}{y} =2^n(-x-y)\binom{-2}{1}+3^n(x+2y)\binom{-1}{1} =\binom{(2^{n+1}-3^n)x+(2^{n+1}-2\cdot3^n)y}{(3^n-2^n)x+(2\cdot3^n-2^n)y}. (x,y)=(1,0),(0,1)(x,y)=(1,0),(0,1) を代入して列を読むと An=(2n+1−3n2n+1−2⋅3n3n−2n2⋅3n−2n).A^n=\begin{pmatrix}2^{n+1}-3^n&2^{n+1}-2\cdot3^n\\3^n-2^n&2\cdot3^n-2^n\end{pmatrix}.

5−2. 極方程式と楕円

(1) a>0a>0 かつ 2+cos⁡θ>02+\cos\theta>0 より r>0r>0。x=rcos⁡θx=r\cos\theta を使うと 2r+x=a2r+x=a。r2=x2+y2r^2=x^2+y^2 より 4(x2+y2)=(a−x)2,3x2+4y2+2ax−a2=0.4(x^2+y^2)=(a-x)^2, \qquad 3x^2+4y^2+2ax-a^2=0. さらに 3(x+a3)2+4y2=4a23\displaystyle 3\left(x+\frac a3\right)^2+4y^2=\frac{4a^2}{3} だから −a≦x≦a/3<a-a\le x\le a/3<a。従って a−x>0a-x>0 であり、平方後も 2r=a−x2r=a-x が復元されて余分な枝はない。

(2) 曲線を右へ a/3a/3 平行移動するには元の式の xx を x−a/3x-a/3 に置く。整理すると C:3x2+4y2=4a23.\displaystyle C:\quad3x^2+4y^2=\frac{4a^2}{3}. y=0y=0 とすると x=±2a/3x=\pm2a/3。BB の xx 座標が正だから A=(−2a3,0),B=(2a3,0).\displaystyle A=\left(-\frac{2a}{3},0\right),\qquad B=\left(\frac{2a}{3},0\right).

(3) P=(α,β)P=(\alpha,\beta) は xx 軸上にないから β≠0\beta\ne0。H=(α,0)H=(\alpha,0)、Q=(α,−β)Q=(\alpha,-\beta) である。楕円上の式から −2a/3<α<2a/3-2a/3<\alpha<2a/3 となり、HはA,Bの間にある。したがって PH⋅QH=β2,AH⋅BH=4a29−α2>0.\displaystyle \mathrm{PH}\cdot\mathrm{QH}=\beta^2, \qquad \mathrm{AH}\cdot\mathrm{BH}=\frac{4a^2}{9}-\alpha^2>0. また 4β2=4a23−3α2=3(4a29−α2).\displaystyle 4\beta^2=\frac{4a^2}{3}-3\alpha^2=3\left(\frac{4a^2}{9}-\alpha^2\right). ゆえに求める比は常に 34\displaystyle \dfrac34 である。

5−3. 景品

各回は復元抽出なので独立で、番号ごとの確率は 1/n1/n。

(1) 番号1が一度も出ない確率は ((n−1)/n)m((n-1)/n)^m。余事象から 1−(n−1n)m.\displaystyle 1-\left(\frac{n-1}{n}\right)^m.

(2) n回ですべての番号が出る並びは各番号が一回ずつ出る n!n! 通り、全並びは nnn^n 通り。従って全種類がそろわない確率は 1−n!nn.\displaystyle 1-\frac{n!}{n^n}.

(3) n+1回で全種類が出るなら、ただ一つの番号が2回、残りが各1回出る。重複番号の選び方はn通り、その位置は (n+12)\displaystyle \binom{n+1}{2} 通り、残りの並べ方は (n−1)!(n-1)! 通りなので n(n+12)(n−1)!nn+1=(n+1)n!2nn.\displaystyle \frac{n\binom{n+1}{2}(n-1)!}{n^{n+1}}=\frac{(n+1)n!}{2n^n}.

5−4. 確率と信頼区間

(1) 密度の積分を1とおくと 1=k∫−11(1−x2) dx=4k3,\displaystyle 1=k\int_{-1}^{1}(1-x^2)\,dx=\frac{4k}{3}, よって k=3/4k=3/4。x(1−x2)x(1-x^2) は奇関数なので、対称区間で積分して E[X]=0E[X]=0。

(2)(a) 標本平均の標準偏差は 10/100=110/\sqrt{100}=1。標準正規分布の対称性と P(Z>1.96)=0.025P(Z>1.96)=0.025 から中央95%区間の係数は1.96である。従って Xˉ−1.96≦m≦Xˉ+1.96,\bar X-1.96\le m\le\bar X+1.96, 幅は 3.923.92。

(b) 信頼度99%の幅は 2⋅2.58⋅10/n2\cdot2.58\cdot10/\sqrt n。これが3.92より小さい条件は n>102.581.96.\displaystyle \sqrt n>10\frac{2.58}{1.96}. 問題文の近似値 2.58/1.96≃1.322.58/1.96\simeq1.32 を使うと n>174.24n>174.24、従って整数 nn は n≧175n\ge175。なお、表示された2.58と1.96の比を丸めず用いると閾値の二乗は 416025/2401≃173.272416025/2401\simeq173.272 で最小整数は174となる。これは指定近似1.32を使った値との差である。

この問題で使う考え方

  • 成分比較
  • 行列の反復作用
  • 極座標と直交座標
  • 平方完成
  • 余事象
  • 順列・組合せ
  • 確率密度の積分
  • 標本平均の信頼区間

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