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鹿児島大学/2014年度/前期

鹿児島大学 2014年 数学 第5問解答・解説

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1問題

鹿児島大学2014年度第5問

次の4問のうちから1問を選択して解答せよ。解答する問題の番号を解答用紙の所定の欄に記入すること。   5-1 次の各問いに答えよ。   (1) 座標平面上での原点を中心とする 150∘150^{\circ} の回転移動を表す行列を PP とする。点 (x,y)(x,y) が PP の表す移動によって,点 (2,4)(2,4) に移ったとする。このとき,点 (x,y)(x,y) を求めよ。   (2) (1) で与えられた行列 PP を考える。Pn=(1001)P^{n}=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix} を満たす最小の自然数 nn を求めよ。   (3) 以下の各命題の反例をあげよ。また,反例になっていることを示せ。ただし,X,YX,Y は2次の正方行列とする。   (a) XY=YXXY=YX が成立する。   (b) XY=OXY=O ならば,X=OX=O または Y=OY=O である。ただし,OO は2次の零行列を表す。   (c) AA を逆行列 A−1A^{-1} をもつ2次の正方行列とする。このとき,AX=YAX=Y ならば,X=YA−1X=YA^{-1} である。   5-2 cc と dd を0ではない実数とする。CC と DD をそれぞれ ss と tt を媒介変数として C: {x=cs2+c2y=ss2+c2D: {x=tt2+d2y=dt2+d2\displaystyle C:\ \begin{cases}x=\dfrac{c}{s^{2}+c^{2}}\\y=\dfrac{s}{s^{2}+c^{2}}\end{cases}\qquad D:\ \begin{cases}x=\dfrac{t}{t^{2}+d^{2}}\\y=\dfrac{d}{t^{2}+d^{2}}\end{cases} で与えられる曲線とする。このとき,次の各問いに答えよ。   (1) CC と DD は円から1点を除いた曲線になっている。それぞれの円を表す方程式と除かれる点を求めよ。   (2) CC と DD の交点の座標を求めよ。   (3) CC と DD の交点における CC の接線の方程式を求めよ。   5-3 2つの確率変数 X,YX,Y の確率分布を同時に考えた表(同時確率分布表)が以下のように与えられている。ただし,X,YX,Y は互いに独立であり,0<a<1, 0<b<10<a<1,\ 0<b<1 とする。このとき,次の各問いに答えよ。 X\Y24計1a2計b1\begin{array}{c|ccc} X\backslash Y & 2 & 4 & \text{計}\\ \hline 1 & & & a\\ 2 & & & \\ \hline \text{計} & b & & 1 \end{array}   (1) 表を完成させ,完成させた表を解答用紙に書け。   (2) 確率変数 W=X−YW=X-Y の平均 E(W)E(W) を求めよ。   (3) 確率変数 Z=YX\displaystyle Z=\frac{Y}{X} の確率分布表を作成し,ZZ の平均 E(Z)E(Z) を求めよ。   (4) E(Z)=94,E(W)=−32\displaystyle E(Z)=\frac{9}{4},\quad E(W)=-\frac{3}{2} となる場合に,ZZ の分散 V(Z)V(Z) を求めよ。   5-4 次の各問いに答えよ。   (1) 数字1が書かれた玉 aa 個(a≧1a\geq1)と,数字2が書かれた玉1個がある。これら a+1a+1 個の玉を母集団として,玉に書かれている数字を変量とする。このとき,この母集団から復元抽出によって大きさ3の無作為標本を抽出し,その玉の数字を取り出した順に X1,X2,X3X_{1},X_{2},X_{3} とする。標本平均 X‾=X1+X2+X33\displaystyle \overline{X}=\frac{X_{1}+X_{2}+X_{3}}{3} の平均 E(X‾)E(\overline{X}) が 32\displaystyle \frac{3}{2} であるとき,X‾\overline{X} の確率分布とその分散 V(X‾)V(\overline{X}) を求めよ。ただし,復元抽出とは,母集団の中から標本を抽出するのに,毎回もとに戻してから次のものを1個取り出す抽出法である。   (2) ある企業の入社試験は採用枠300名のところ500名の応募があった。試験の結果は500点満点の試験に対し,平均点245点,標準偏差50点であった。得点の分布が正規分布であるとみなされるとき,合格最低点はおよそ何点であるか。小数点以下を切り上げて答えよ。ただし,確率変数 ZZ が標準正規分布に従うとき,P(Z>0.25)=0.4,P(Z>0.5)=0.3,P(Z>0.54)=0.2P(Z>0.25)=0.4,\quad P(Z>0.5)=0.3,\quad P(Z>0.54)=0.2 とする。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • 5-1(1)
    (2−3,−1−23)(2-\sqrt3,-1-2\sqrt3)
  • 5-1(2)
    12
  • 5-1(3)(a)
    XY≠YXの例を提示
  • 5-1(3)(b)
    XY=OXY=OかつX,Y≠Oの例を提示
  • 5-1(3)(c)
    AX=YAX=YだがX≠YA−1X≠YA^{-1}となる例を提示
  • 5-2(1)
    C:(x−12c)2+y2=14c2,D:x2+(y−12d)2=14d2;各円から原点を除く\displaystyle C:\left(x-\frac1{2c}\right)^2+y^2=\frac1{4c^2},\quad D:x^2+\left(y-\frac1{2d}\right)^2=\frac1{4d^2};\quad\text{各円から原点を除く}
  • 5-2(2)
    (c/(c2+d2),d/(c2+d2))(c/(c^2+d^2), d/(c^2+d^2))
  • 5-2(3)
    (c2−d2)x+2cdy=c(c^2−d^2)x+2cd y=c
  • 5-3(1)
    P(1,2)=ab,P(1,4)=a(1−b),P(2,2)=(1−a)b,P(2,4)=(1−a)(1−b)P(1,2)=ab, P(1,4)=a(1−b), P(2,2)=(1−a)b, P(2,4)=(1−a)(1−b)
  • 5-3(2)
    E(W)=2b−a−2E(W)=2b−a−2
  • 5-3(3)
    P(Z=1)=(1−a)b;P(Z=2)=1−a−b+2ab;P(Z=4)=a(1−b);E(Z)=2+2a−b−abP(Z=1)=(1−a)b; P(Z=2)=1−a−b+2ab; P(Z=4)=a(1−b); E(Z)=2+2a−b−ab
  • 5-3(4)
    V(Z)=19/16V(Z)=19/16
  • 5-4(1)
    a=1;P(Xbar=1,4/3,5/3,2)=(1/8,3/8,3/8,1/8);V(Xbar)=1/12a=1; P(Xbar=1,4/3,5/3,2)=(1/8,3/8,3/8,1/8); V(Xbar)=1/12
  • 5-4(2)
    233点

3解答

解答を見る途中式つきの解答

以下、問題5の選択肢 5-1〜5-4 の全てについて解答する。

5-1 (1) 反時計回り 150∘150^\circ の回転行列を PP とすると、求める点は逆回転で得られる。 P−1(24)=(−3212−12−32)(24)=(2−3−1−23).\displaystyle P^{-1}\binom{2}{4} =\begin{pmatrix}-\frac{\sqrt3}{2}&\frac12\\-\frac12&-\frac{\sqrt3}{2}\end{pmatrix}\binom{2}{4} =\binom{2-\sqrt3}{-1-2\sqrt3}. したがって (x,y)=(2−3,−1−23)(x,y)=(2-\sqrt3,-1-2\sqrt3) である。

5-1 (2) PnP^n は 150n∘150n^\circ の回転を表す。これが恒等行列となる条件は 150n=360k150n=360k(整数 kk)であり、5n=12k5n=12k。55 と 1212 は互いに素だから最小の正の整数は n=12n=12 である。

5-1 (3)

(a) X=(1000)X=\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix}、Y=(0100)Y=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix} とする。このとき XY=YXY=Y だが YX=OYX=O なので、XY≠YXXY\ne YX。

(b) X=(1000)X=\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix}、Y=(0001)Y=\begin{pmatrix}0&0\\0&1\end{pmatrix} とすると、どちらも零行列ではなく、XY=OXY=O となる。

(c) A=(2001)A=\begin{pmatrix}2&0\\0&1\end{pmatrix}、X=(0100)X=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}、Y=(0200)Y=\begin{pmatrix}0&2\\0&0\end{pmatrix} とする。AA は可逆で、AX=YAX=Y である一方、YA−1=Y≠XYA^{-1}=Y\ne X。よって主張は成り立たない。

5-2 (1) CC では x=c/(s2+c2)x=c/(s^2+c^2)、y=s/(s2+c2)y=s/(s^2+c^2) だから、 x2+y2=1s2+c2=xc,(x−12c)2+y2=14c2.\displaystyle x^2+y^2=\frac{1}{s^2+c^2}=\frac{x}{c},\qquad \left(x-\frac{1}{2c}\right)^2+y^2=\frac{1}{4c^2}. また x≠0x\ne0 なので原点は含まれない。逆に、この円上の原点以外の点では x≠0x\ne0 であり、s=cy/xs=cy/x と置けば与えられた媒介変数表示に戻る。したがって CC はこの円から原点を除いた曲線である。同様に DD では x2+y2=y/dx^2+y^2=y/d となり、 x2+(y−12d)2=14d2.\displaystyle x^2+\left(y-\frac{1}{2d}\right)^2=\frac{1}{4d^2}. DD 上では y≠0y\ne0、逆にこの円上の原点以外では t=dx/yt=dx/y と置けるので、DD も円から原点を除いた曲線である。

5-2 (2) 交点では x2+y2=x/c=y/dx^2+y^2=x/c=y/d だから cy=dxcy=dx。これを x2+y2=x/cx^2+y^2=x/c に代入すると x((c2+d2)x−c)=0.x\bigl((c^2+d^2)x-c\bigr)=0. 原点は曲線から除かれているので、 (x,y)=(cc2+d2,dc2+d2).\displaystyle (x,y)=\left(\frac{c}{c^2+d^2},\frac{d}{c^2+d^2}\right). この点は CC では s=ds=d、DD では t=ct=c に対応し、実際に両曲線上にある。

5-2 (3) CC の円の中心は OC=(1/(2c),0)O_C=(1/(2c),0) である。交点 P=(c/S,d/S)P=(c/S,d/S)(ただし S=c2+d2S=c^2+d^2)に対し、半径方向のベクトルは OCP→=(c2−d22cS,dS).\displaystyle \overrightarrow{O_CP}=\left(\frac{c^2-d^2}{2cS},\frac{d}{S}\right). 従って、これに平行な法線をもつ接線の方程式は (c2−d2)(x−cS)+2cd(y−dS)=0,\displaystyle (c^2-d^2)\left(x-\frac{c}{S}\right)+2cd\left(y-\frac{d}{S}\right)=0, すなわち (c2−d2)x+2cdy=c(c^2-d^2)x+2cd y=c である。

5-3 (1) X,YX,Y は独立で、P(X=1)=aP(X=1)=a、P(X=2)=1−aP(X=2)=1-a、P(Y=2)=bP(Y=2)=b、P(Y=4)=1−bP(Y=4)=1-b である。よって同時確率表は X\Y24計1aba(1−b)a2(1−a)b(1−a)(1−b)1−a計b1−b1\begin{array}{c|cc|c} X\backslash Y&2&4&\text{計}\\\hline 1&ab&a(1-b)&a\\ 2&(1-a)b&(1-a)(1-b)&1-a\\\hline \text{計}&b&1-b&1 \end{array} となる。

5-3 (2) E(X)=2−aE(X)=2-a、E(Y)=4−2bE(Y)=4-2b より E(W)=E(X−Y)=2b−a−2.E(W)=E(X-Y)=2b-a-2.

5-3 (3) Z=Y/XZ=Y/X の値は、(X,Y)=(1,2),(1,4),(2,2),(2,4)(X,Y)=(1,2),(1,4),(2,2),(2,4) の順に 2,4,1,22,4,1,2 である。従って P(Z=1)=(1−a)b,P(Z=2)=ab+(1−a)(1−b)=1−a−b+2ab,P(Z=4)=a(1−b),P(Z=1)=(1-a)b,\quad P(Z=2)=ab+(1-a)(1-b)=1-a-b+2ab,\quad P(Z=4)=a(1-b), E(Z)=2+2a−b−ab.E(Z)=2+2a-b-ab.

5-3 (4) 条件 E(W)=−3/2E(W)=-3/2 から a=2b−1/2a=2b-1/2。これを E(Z)=9/4E(Z)=9/4 に代入すると 8b2−14b+5=0,8b^2-14b+5=0, よって b=5/4b=5/4 または b=1/2b=1/2。0<b<10<b<1 より b=1/2b=1/2、従って a=1/2a=1/2。このとき P(Z=1,2,4)=(1/4,1/2,1/4)P(Z=1,2,4)=(1/4,1/2,1/4) だから V(Z)=E(Z2)−E(Z)2=(14+4⋅12+16⋅14)−(94)2=1916.\displaystyle V(Z)=E(Z^2)-E(Z)^2=\left(\frac14+4\cdot\frac12+16\cdot\frac14\right)-\left(\frac94\right)^2=\frac{19}{16}.

5-4 (1) 母平均の条件は (a+2)/(a+1)=3/2(a+2)/(a+1)=3/2 なので a=1a=1。各回で数字2を得る確率は 1/21/2 である。3回のうち数字2が出た回数を KK とすると KK は二項分布 (3,1/2)(3,1/2) に従い、標本平均は Xˉ=1+K/3\bar X=1+K/3。よって Xˉ14/35/32P1/83/83/81/8,V(Xˉ)=19V(K)=19⋅34=112.\displaystyle \begin{array}{c|cccc} \bar X&1&4/3&5/3&2\\\hline P&1/8&3/8&3/8&1/8 \end{array},\qquad V(\bar X)=\frac{1}{9}V(K)=\frac{1}{9}\cdot\frac34=\frac{1}{12}.

5-4 (2) 採用率は 300/500=0.6300/500=0.6 なので、最低点より下の割合は 0.40.4。与えられた標準正規分布の確率と対称性から下側 0.40.4 の点は z=−0.25z=-0.25 である。得点の境界は 245+50(−0.25)=232.5.245+50(-0.25)=232.5. 小数点以下を切り上げ、合格最低点は 233233 点である。

この問題で使う考え方

  • 回転行列
  • 反例の構成
  • 媒介変数消去
  • 内積・接線
  • 独立性
  • 期待値と分散
  • 二項分布
  • 正規分布の標準化

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