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九州大学/2001年度/前期

九州大学 2001年 数学 第5問解答・解説

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1問題

九州大学2001年度第5問

次の問 D,E,FD,E,F より1問を選択し,解答紙16の□\square(2個所)に選択した問題符号 D,E,FD,E,F のいずれかを記入してから解答しなさい。   D 関数 f(x)f(x) の第2次導関数はつねに正とし,関数 y=f(x)y=f(x) のグラフ GG 上の点 P(t,f(t))P(t,f(t)) における接線と xx 軸のなす角を θ(t)\theta(t) とする。ただし θ(t)\theta(t) は −π2<θ(t)<π2\displaystyle -\frac{\pi}{2}<\theta(t)<\frac{\pi}{2} で接線の傾きが正,負,0に従って正,負,0の値をとるものとする。また,点 PP における GG の法線上に PP から距離1の点 Q(α(t),β(t))Q(\alpha(t),\beta(t)) を GG の下側にとる。

(1) θ(t)\theta(t) はつねに増加することを示せ。

(2) α(t),β(t)\alpha(t),\beta(t) を求めよ。

(3) tt が aa から b  (a<b)b\;(a<b) まで変化するとき,点 P,QP,Q が描く曲線の長さをそれぞれ L1,L2L_1,L_2 とする。L2−L1L_2-L_1 を θ(a)\theta(a) と θ(b)\theta(b) を用いて表せ。   E (1) ee を自然対数の底とし,f(x)=ex−(1+x+12x2)\displaystyle f(x)=e^x-\left(1+x+\frac{1}{2}x^2\right) とおく。0<x<10<x<1 においては 0<f(x)<x30<f(x)<x^3 が成り立つことを示せ。また lim⁡n→∞n2f(1n)=0\displaystyle \lim\limits _{n\to\infty}n^2f\left(\frac{1}{n}\right)=0 を示せ。必要であれば e<3e<3 を使ってよい。

(2) 関数 g(x)=exg(x)=e^x を考える。区間 0≦x≦10\leq x\leq1 を nn 個の小区間に等分して,各小区間を底辺,小区間の左端の点における関数 g(x)g(x) の値を高さとする長方形の面積の和を KnK_n とする。n→∞n\to\infty のとき,nk∣∫01g(x) dx−Kn∣\displaystyle n^k\left|\int_0^1g(x)\,dx-K_n\right| が有限の値に収束するような最大の自然数 kk とそのときの極限値を求めよ。   F p,qp,q を整数とし,x,yx,y を未知数とする連立1次方程式 {4x+9y=p2x+6y=q\begin{cases}4x+9y=p\\2x+6y=q\end{cases} を考える。

(1) この方程式を行列を用いて表し,係数行列の逆行列を求めよ。

(2) 上の連立方程式の解 x,yx,y が共に整数であるような組 (p,q)(p,q) をすべて求めよ。ただし 0≦p≦5,0≦q≦50\leq p\leq5,\quad0\leq q\leq5 とする。

(3) 正の整数 dd で,「dd のどんな倍数 p,qp,q に対しても上の連立方程式の解 x,yx,y が整数になる」ものが存在することを示せ。

(4) (3)における dd のうちで最小のものを求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • D(1)
    θ(t)は狭義単調増加
  • D(2)
    下向き法線半直線の読みなら α=t+sin⁡θ,β=f(t)−cos⁡θ\alpha=t+\sin\theta,\quad \beta=f(t)-\cos\theta。部分グラフの下側なら一意とは限らずHOLD。
  • D(3)
    下向き法線半直線の読みなら L2−L1=θ(b)−θ(a)L2-L1=θ(b)-θ(a)。他方の法線点では一般に端点角だけで表せない。
  • E(1)
    0<x<10<x<1で0<f(x)<x30<f(x)<x^3、lim⁡n→∞n2f(1/n)=0\displaystyle\lim\limits _{n\to\infty}n^2f(1/n)=0
  • E(2)
    最大k=1k=1、極限値e−12\displaystyle \frac{e-1}{2}
  • F(1)
    A−1=1/6[[6,−9],[−2,4]]A^{-1}=1/6[[6,-9],[-2,4]]
  • F(2)
    (p,q)=(0,0),(3,0),(1,2),(4,2),(2,4),(5,4)(p,q)=(0,0),(3,0),(1,2),(4,2),(2,4),(5,4)
  • F(3)
    d=6d=6で全てのp,qが6の倍数なら解は整数
  • F(4)
    最小d=6d=6

3解答

解答を見る途中式つきの解答

D 接線角・単位法線・曲線の長さ (1) 接線角の増加 接線の傾きはf′(t)=tan⁡θ(t)f'(t)=\tan\theta(t)であり、−π/2<θ(t)<π/2-\pi/2<\theta(t)<\pi/2である。よってθ(t)=arctan⁡f′(t)\theta(t)=\arctan f'(t)で、 θ′(t)=f′′(t)1+{f′(t)}2>0.\displaystyle \theta'(t)=\frac{f''(t)}{1+\{f'(t)\}^2}>0. したがってθ(t)\theta(t)はつねに(厳密に)増加する。

(2) 下側の単位法線 接線の上向きでない単位法線は(sin⁡θ,−cos⁡θ)(\sin\theta,-\cos\theta)である。cos⁡θ>0\cos\theta>0よりその鉛直成分は負で、PPからの距離は1である。したがって α(t)=t+sin⁡θ(t)=t+f′(t)1+{f′(t)}2.\displaystyle \boxed{\alpha(t)=t+\sin\theta(t) =t+\frac{f'(t)}{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}}}. β(t)=f(t)−cos⁡θ(t)=f(t)−11+{f′(t)}2.\displaystyle \boxed{\beta(t)=f(t)-\cos\theta(t) =f(t)-\frac1{\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}}}.

(3) 二曲線の弧長差 接線方向の単位ベクトルをT=(cos⁡θ,sin⁡θ)T=(\cos\theta,\sin\theta)とする。P′=(1,f′)=1+{f′}2 TP'=(1,f')=\sqrt{1+\{f'\}^2}\,Tである。またQ=P+(sin⁡θ,−cos⁡θ)Q=P+(\sin\theta,-\cos\theta)なので、 Q′=P′+θ′(cos⁡θ,sin⁡θ)=(1+{f′}2+θ′)T.Q'=P'+\theta'(\cos\theta,\sin\theta) =\left(\sqrt{1+\{f'\}^2}+\theta'\right)T. θ′>0\theta'>0ゆえ括弧内は正で、速さの絶対値を外す際の符号反転はない。従って L1=∫ab1+{f′(t)}2 dt,L2=∫ab(1+{f′(t)}2+θ′(t))dt,\displaystyle L_1=\int_a^b\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}\,dt,\qquad L_2=\int_a^b\left(\sqrt{1+\{f'(t)\}^2}+\theta'(t)\right)dt, したがってL2−L1=θ(b)−θ(a)\boxed{L_2-L_1=\theta(b)-\theta(a)}である。

E 指数不等式・長方形近似 (1) 三次の挟み込み f(x)=ex−1−x−x2/2f(x)=e^x-1-x-x^2/2とおくと、f(0)=f′(0)=f′′(0)=0f(0)=f'(0)=f''(0)=0かつf′′′(x)=ex>0f'''(x)=e^x>0である。0<x<10<x<1では順にf′′(x)>0f''(x)>0、f′(x)>0f'(x)>0、f(x)>0f(x)>0となる。

h(x)=x3−f(x)h(x)=x^3-f(x)とおくとh(0)=h′(0)=h′′(0)=0h(0)=h'(0)=h''(0)=0であり、0<x<10<x<1ではex<e<3e^x<e<3を用いてh′′′(x)=6−ex>3>0h'''(x)=6-e^x>3>0を得る。同様にh′′(x),h′(x),h(x)>0h''(x),h'(x),h(x)>0である。故に 0<f(x)<x3(0<x<1).\boxed{0<f(x)<x^3}\qquad(0<x<1). n≧2n\ge2でx=1/nx=1/nを代入すれば0<n2f(1/n)<1/n0<n^2f(1/n)<1/nなので、挟みうちによりlim⁡n→∞n2f(1/n)=0\displaystyle \boxed{\lim\limits _{n\to\infty}n^2f(1/n)=0}。

(2) 最大の自然数と極限 g(x)=exg(x)=e^xは増加するから左端の長方形和KnK_nは積分より小さい。等比級数から Kn=1n∑j=0n−1ej/n=e−1n(e1/n−1),∫01ex dx=e−1.\displaystyle K_n=\frac1n\sum\limits _{j=0}^{n-1}e^{j/n} =\frac{e-1}{n(e^{1/n}-1)},\qquad \int_0^1e^x\,dx=e-1. δn=n(e1/n−1)−1\delta_n=n(e^{1/n}-1)-1とおく。(1)のffを用いれば δn=12n+nf(1/n)>0,nδn=12+n2f(1/n)⟶12.\displaystyle \delta_n=\frac1{2n}+nf(1/n)>0,\qquad n\delta_n=\frac12+n^2f(1/n)\longrightarrow\frac12. 積分と左端和の差DnD_nは正であり、 Dn=(e−1)−Kn=(e−1)δn1+δn,nDn⟶e−12>0.\displaystyle D_n=(e-1)-K_n=(e-1)\frac{\delta_n}{1+\delta_n},\qquad nD_n\longrightarrow\frac{e-1}{2}>0. k=1k=1なら有限の極限を持つ。一方、任意の自然数k≧2k\ge2では nkDn=nk−1(nDn)→∞n^kD_n=n^{k-1}(nD_n)\to\inftyである。従って kmax⁡=1,lim⁡n→∞nDn=e−12.\displaystyle \boxed{k_{\max}=1,\qquad \lim\limits _{n\to\infty}nD_n=\frac{e-1}{2}}.

F 行列と整数解 (1) 行列表示と逆行列 A(xy)=(pq),A=(4926),det⁡A=4⋅6−9⋅2=6≠0.\displaystyle A\binom{x}{y}=\binom{p}{q},\qquad A=\begin{pmatrix}4&9\\2&6\end{pmatrix},\qquad \det A=4\cdot6-9\cdot2=6\ne0. したがって A−1=16(6−9−24)=(1−3/2−1/32/3).\displaystyle \boxed{A^{-1}=\frac16\begin{pmatrix}6&-9\\-2&4\end{pmatrix}} =\begin{pmatrix}1&-3/2\\-1/3&2/3\end{pmatrix}. 解はx=p−3q/2, y=(−p+2q)/3x=p-3q/2,\ y=(-p+2q)/3である。

(2) 0≦p,q≦50\le p,q\le5での全組 p,qp,qが整数のとき、xx が整数であることはqqが偶数であることと同値、yy が整数であることはp≡2q(mod3)p\equiv2q\pmod3と同値である。q=0,2,4q=0,2,4を順に調べると qpの候補(p,q)00,3(0,0),(3,0)21,4(1,2),(4,2)42,5(2,4),(5,4)\begin{array}{c|c|c} q&p\text{の候補}&(p,q)\\\hline 0&0,3&(0,0),(3,0)\\ 2&1,4&(1,2),(4,2)\\ 4&2,5&(2,4),(5,4) \end{array} となり、(p,q)=(0,0),(3,0),(1,2),(4,2),(2,4),(5,4)\boxed{(p,q)=(0,0),(3,0),(1,2),(4,2),(2,4),(5,4)}が全部である。

(3) 存在と(4)最小値 d=6d=6ならp=6m,q=6np=6m,q=6n(m,nm,nは整数)として x=6m−9n,y=−2m+4nx=6m-9n,\qquad y=-2m+4n は必ず整数となる。従って所望のddは存在する。

逆に所望の正整数ddがあるなら、正の倍数の組p=q=dp=q=dも許される。このときx=−d/2, y=d/3x=-d/2,\ y=d/3だから、両者が整数となるには2∣d2\mid dかつ3∣d3\mid dが必要である。したがって6∣d6\mid d、既にd=6d=6が成り立つのでdmin⁡=6\displaystyle \boxed{d_{\min}=6}である。

単元・方法・テーマ・範囲 単元:Dは数学III「微分法・積分法(曲線の長さ)」、Eは数学III「指数関数の微分・積分、数列の極限」、Fは原本当時の高校数学C「行列」である。

方法:Dはarctan⁡\arctanの微分、単位法線、速度ベクトルの積分。Eは導関数の符号を三段階追う不等式、挟みうち、等比級数と誤差の次数比較。Fは2×22\times2逆行列、合同条件による整数候補列挙、必要十分条件である。

テーマ:Dは凸曲線の接線角と平行曲線の弧長差、Eは指数近似の三次誤差と左端和の一次誤差、Fは整数係数の連立方程式と一様な整除条件である。使用定理・公式は高校範囲の微分法、曲線の長さ、基本的な極限と等比級数、行列式と逆行列に限る。大学数学の定理やTaylor展開を用いない。

原文の条件解釈と同一問QCの照合 独立稿を保存した後、同一問のQCと採用答案参照を読んだ。E(1)(2)、F(1)--(4)、D(1)は答えと論証の結論が一致した。D(2)(3)も下向き法線半直線を選ぶなら一致する。ただし採用答案の「凸曲線は接線の上側にあるので、曲線の下側は接線の下側である」という逆向きの含意は成り立たない。接線より上側でも曲線より下側にある点がありうる。

原文は距離1の法線点QQを「GGの下側にとる」と記す。「下側」を、同じxx座標でのy<f(x)y<f(x)と読むと非一意となる。f(x)=3x2f(x)=3x^2、t=1/6t=1/6を例に取るとf′′=6>0f''=6>0、f′(t)=1f'(t)=1、θ=π/4\theta=\pi/4、P=(1/6,1/12)P=(1/6,1/12)である。二つの法線点 Q−=P+(1/2,−1/2),Q+=P+(−1/2,1/2)Q_-=P+(1/\sqrt2,-1/\sqrt2),\qquad Q_+=P+(-1/\sqrt2,1/\sqrt2) はともにPPから距離1であり、各点の座標を(α±,β±)(\alpha_\pm,\beta_\pm)とすると f(α−)−β−=32+2>0,f(α+)−β+=32−2>0.\displaystyle f(\alpha_-)-\beta_-=\frac32+\sqrt2>0,\qquad f(\alpha_+)-\beta_+=\frac32-\sqrt2>0. よって両方ともそれぞれのxx座標で曲線GGの下側にある。原文には法線の半直線を指定する追加条件がない。

さらにQ+=P−(sin⁡θ,−cos⁡θ)Q_+=P-(\sin\theta,-\cos\theta)を連続的に選ぶと Q+′=(sec⁡θ−θ′)(cos⁡θ,sin⁡θ),L2,+−L1=∫ab(∣sec⁡θ−θ′∣−sec⁡θ) dt.\displaystyle Q_+'=(\sec\theta-\theta')(\cos\theta,\sin\theta),\qquad L_{2,+}-L_1=\int_a^b\bigl(|\sec\theta-\theta'|-\sec\theta\bigr)\,dt. 上の例でt=1/6t=1/6ではsec⁡θ=2\sec\theta=\sqrt2、θ′=3\theta'=3である。連続性によりt=1/6t=1/6の十分短い近傍では、二候補とも曲線の下側で、かつθ′>sec⁡θ\theta'>\sec\thetaである。その近傍を a≦t≦ba\le t\le b の範囲とすれば、下向き枝の弧長差はθ(b)−θ(a)\theta(b)-\theta(a)、他方の枝ではθ(b)−θ(a)−2L1\theta(b)-\theta(a)-2L_1となり、同じ端点角でも異なる。このためD(2)(3)は原文を部分グラフの意味に読む限り一意に答えられない。

この問題で使う考え方

  • arctan微分
  • 単位法線
  • 速度ベクトルと弧長
  • 反例による一意性検証
  • 高階導関数の符号
  • 挟みうち
  • 等比和
  • 誤差次数

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