(1) 2次方程式 (*) の判別式を D=b2−4ac とする。(*) が異なる二つの実数解をもつ条件は D>0、すなわち b2>4ac である。 a,b,c はいずれも1から6までの整数(さいころの目)だから、b の最大値は6であり、b2 の最大値は36である。ある (a,c) に対して b2>4ac を満たす b が1から6の中に存在するための必要十分条件は、最大の b=6 について 36>4ac が成り立つこと、すなわち ac<9 である(ac<9 ならば b=6 のとき b2=36>4ac が成り立ち条件を満たす b が存在し、逆に ac≧9 なら b=6 でも b2=36≦4ac となり、どの b でも条件を満たさない)。ac は整数だから ac<9 と ac≦8 は同値である。 よって、(*) が異なる二つの実数解をもつような (a,b,c) が存在しうる (a,c) は ac≦8 を満たすものである。a,c がそれぞれ1から6までの整数であるとして積を調べると、ac=1:ac=2:ac=3:ac=4:ac=5:ac=6:ac=8: (a,c)=(1,1)1通り (1,2),(2,1)2通り (1,3),(3,1)2通り (1,4),(4,1),(2,2)3通り (1,5),(5,1)2通り (1,6),(6,1),(2,3),(3,2)4通り (2,4),(4,2)2通り (ac=7 は1から6の整数の積として実現できないので現れない。ac=9 は (3,3) のみで実現するが、このときは b=6 でも D=36−36=0 となり重解となるため除かれる。) したがって、積 ac の取りうる値は 1,2,3,4,5,6,8 の7通りであり、それぞれの値に対する (a,c) の組の数は上記の通りである。 (2) (*) が異なる二つの有理数の解をもつのは、判別式 D=b2−4ac が正であり、かつ D が自然数の2乗であるとき、かつその時に限る。 実際、a,b,c は整数で、解は x=2a−b±D である。D が自然数の2乗でなければ、問題文で用いてよいとされた事実(自然数 n が自然数の2乗でなければ n は無理数である)より D は無理数となり、整数 a,b に対し 2a−b±D は無理数となるから解は有理数にならない。逆に D が自然数の2乗ならば D は整数(有理数)となり、解は有理数である。また D>0 であることが「異なる二つ」の実数解であるための条件であり(D=0 なら重解)、有理数解も当然実数解だから同じ条件を要する。 そこで D=b2−4ac が正の平方数となる (a,b,c) (a,b,c はそれぞれ1から6までの整数) を b の値ごとに数える。b=1:b=2:b=3:b=4:b=5:b=6: D=1−4ac≦1−4<0 (ac≧1) よって D>0を満たすものなし D=4−4ac=4(1−ac)≦0 (ac≧1) よって D>0を満たすものなし D=9−4ac>0、すなわち ac≦2.ac=1:D=5(平方数でない), ac=2:D=1=12(平方数)よって(a,c)=(1,2),(2,1) の2通り D=16−4ac>0、すなわち ac≦3.ac=1:D=12, ac=2:D=8 (ともに平方数でない), ac=3:D=4=22よって(a,c)=(1,3),(3,1) の2通り D=25−4ac>0、すなわち ac≦6.ac=1,2,3,5:D=21,17,13,5 (いずれも平方数でない)ac=4:D=9=32 よって(1,4),(4,1),(2,2) の3通り;ac=6:D=1=12 よって(1,6),(6,1),(2,3),(3,2) の4通り D=36−4ac>0、すなわち ac≦8.ac=1,2,3,4,6:D=32,28,24,20,12 (いずれも平方数でない)ac=5:D=16=42 よって(1,5),(5,1) の2通り;ac=8:D=4=22 よって(2,4),(4,2) の2通り したがって条件を満たす (a,b,c) の総数は 2+2+(3+4)+(2+2)=2+2+7+4=15 通り さいころを3回投げたときの目の出方は 63=216 通りですべて同様に確からしいから、求める確率は 21615=725. [検算] 例えば b=5, (a,c)=(2,3) のとき 2x2+5x+3=0 は (2x+3)(x+1)=0 より x=−23,−1 で異なる有理数解をもつ。b=6, (a,c)=(4,2) のとき 4x2+6x+2=0 は 2(2x+1)(x+1)=0 より x=−21,−1 で異なる有理数解をもつ。他の12通りも同様に因数分解して確認でき、上の数え上げと矛盾しない。