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九州大学/2007年度/前期

九州大学 2007年 数学 第5問解答・解説

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1問題

九州大学2007年度第5問配点 50点

この問題の解答は,解答紙17の定められた場所に記入しなさい。 [問題] 関数 f(x)f(x) が0でない定数 pp に対して,つねに f(x+p)=f(x)f(x+p)=f(x) を満たすとき f(x)f(x) は周期関数であるといい,pp を周期という。正の周期のうちで最小のものを特に基本周期という。たとえば,関数 sin⁡x\sin x の基本周期は 2π2\pi である。このとき,次の問いに答えよ。   (1) y=∣sin⁡x∣y=|\sin x| のグラフをかき,関数 ∣sin⁡x∣|\sin x| の基本周期を求めよ。   (2) 自然数 mm,nn に対して関数 f(x)f(x) を f(x)=∣sin⁡(mx)∣sin⁡(nx)f(x)=|\sin(mx)|\sin(nx) とおく。pp が関数 f(x)f(x) の周期ならば f(p2)=f(−p2)=0\displaystyle f\left(\frac{p}{2}\right)=f\left(-\frac{p}{2}\right)=0 が成り立つことを示せ。また,このとき mpmp は π\pi の整数倍であり,npnp は 2π2\pi の整数倍であることを示せ。   (3) mm,nn は1以外の公約数をもたない自然数とする。(2)の結果を用いて関数 ∣sin⁡(mx)∣sin⁡(nx)|\sin(mx)|\sin(nx) の基本周期を求めよ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) 関数 ∣sin⁡x∣|\sin x| の基本周期は π\pi。
    (2) f(x)=∣sin⁡(mx)∣sin⁡(nx)f(x)=|\sin(mx)|\sin(nx) とし、pp を ff の周期とする。f(−x)=∣sin⁡(mx)∣{−sin⁡(nx)}=−f(x)f(-x)=|\sin(mx)|\{-\sin(nx)\}=-f(x) より ff は奇関数。f(x+p)=f(x)f(x+p)=f(x) に x=−p/2x=-p/2 を代入すると f(p/2)=f(−p/2)f(p/2)=f(-p/2) であり、これと f(−p/2)=−f(p/2)f(-p/2)=-f(p/2) を合わせて f(p/2)=f(−p/2)=0f(p/2)=f(-p/2)=0 が従う。さらに ∣sin⁡(mp/2)∣sin⁡(np/2)=0|\sin(mp/2)|\sin(np/2)=0 なので sin⁡(mp/2)=0\sin(mp/2)=0 または sin⁡(np/2)=0\sin(np/2)=0 であり、いずれの場合も残りの条件式を用いた考察により mpmp はπ\piの整数倍、npnp は2π2\piの整数倍であることが示される(証明は 解答欄 参照)。
    (3) m,nm,n が互いに素であるとき、∣sin⁡(mx)∣sin⁡(nx)|\sin(mx)|\sin(nx) の基本周期は、nn が偶数ならば π\pi、nn が奇数ならば 2π2\pi である。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) y=∣sin⁡x∣y=|\sin x| のグラフは,0≦x≦π0\le x\le \pi では y=sin⁡xy=\sin x とまったく同じ(sin⁡x≧0\sin x\ge 0 だから)山型の曲線(端点 (0,0),(π,0)(0,0),(\pi,0),頂点 (π/2,1)(\pi/2,1))であり,これを xx 軸方向に π\pi ごとに繰り返し並べたグラフになる(π≦x≦2π\pi\le x\le 2\pi では sin⁡x≦0\sin x\le 0 なので ∣sin⁡x∣=−sin⁡x|\sin x|=-\sin x となり,やはり同じ山型が現れる)。グラフは常に y≧0y\ge 0 で,x=kπx=k\pi(kk は整数)で 00 となる山が等間隔に並ぶ形である。

周期であること: ∣sin⁡(x+π)∣=∣−sin⁡x∣=∣sin⁡x∣|\sin(x+\pi)|=|-\sin x|=|\sin x| より π\pi は ∣sin⁡x∣|\sin x| の周期である。

最小性:0<p<π0<p<\pi が周期だとすると,x=0x=0 を代入して ∣sin⁡p∣=∣sin⁡0∣=0よりsin⁡p=0よりp=kπ (k は整数)|\sin p|=|\sin 0|=0\quad\text{より}\quad \sin p=0\quad\text{より}\quad p=k\pi\ (k\text{ は整数}) となるが,0<p<π0<p<\pi を満たす整数 kk は存在しない。よって π\pi より小さい正の周期はなく,基本周期は π\boxed{\pi} である。

(2) 以下,g(x)=∣sin⁡(mx)∣g(x)=|\sin(mx)|(≧0\ge 0),h(x)=sin⁡(nx)h(x)=\sin(nx) とおき,f(x)=g(x)h(x)f(x)=g(x)h(x) と書く。pp を ff の(0でない)周期とする,すなわち f(x+p)=f(x)(すべての実数 x)(I)f(x+p)=f(x)\quad (\text{すべての実数 } x)\tag{I} が成り立つとする。

(i) f(p/2)=f(−p/2)=0f(p/2)=f(-p/2)=0 の証明 まず ff は奇関数である。実際 f(−x)=∣sin⁡(−mx)∣sin⁡(−nx)=∣sin⁡(mx)∣⋅(−sin⁡(nx))=−f(x).f(-x)=|\sin(-mx)|\sin(-nx)=|\sin(mx)|\cdot(-\sin(nx))=-f(x). (I) に x=−p2\displaystyle x=-\dfrac{p}{2} を代入すると f ⁣(p2)=f ⁣(−p2).\displaystyle f\!\left(\frac{p}{2}\right)=f\!\left(-\frac{p}{2}\right). 一方,奇関数であることから f ⁣(−p2)=−f ⁣(p2).\displaystyle f\!\left(-\frac{p}{2}\right)=-f\!\left(\frac{p}{2}\right). この2式より f(p/2)=−f(p/2)f(p/2)=-f(p/2),すなわち f ⁣(p2)=0,f ⁣(−p2)=0.\displaystyle f\!\left(\frac{p}{2}\right)=0,\qquad f\!\left(-\frac{p}{2}\right)=0.

(ii) mp は π の整数倍mp\text{ は }\pi\text{ の整数倍} かつ np は 2π の整数倍np\text{ は }2\pi\text{ の整数倍} の証明 (i) より ∣sin⁡mp2∣sin⁡np2=0\displaystyle \left|\sin\frac{mp}{2}\right|\sin\frac{np}{2}=0 であるから,次のいずれかが成り立つ: (A) sin⁡mp2=0の必要十分条件はmp が 2π の整数倍であること,(B) sin⁡np2=0の必要十分条件はnp が 2π の整数倍であること.\displaystyle \text{(A)}\ \sin\frac{mp}{2}=0\quad\text{の必要十分条件は}\quad mp\text{ が }2\pi\text{ の整数倍であること},\qquad \text{(B)}\ \sin\frac{np}{2}=0\quad\text{の必要十分条件は}\quad np\text{ が }2\pi\text{ の整数倍であること}.

ここで補題を2つ用意する(いずれも初等的な三角関数の性質):

補題1 sin⁡(θ+α)=sin⁡θ\sin(\theta+\alpha)=\sin\theta がすべての θ\theta で成り立つための必要十分条件は α\alpha が 2π2\pi の整数倍であること。(十分性\text{十分性} は正弦関数の周期が 2π2\pi であることから成り立つ。必要性\text{必要性} は θ=0\theta=0 を代入すると sin⁡α=0\sin\alpha=0,かつ θ=π/2\theta=\pi/2 を代入すると cos⁡α=1\cos\alpha=1 となるので α は 2π の整数倍\alpha\text{ は }2\pi\text{ の整数倍}。)

補題2 ∣sin⁡(θ+α)∣=∣sin⁡θ∣|\sin(\theta+\alpha)|=|\sin\theta| がすべての θ\theta で成り立つための必要十分条件は α\alpha が π\pi の整数倍であること。(十分性\text{十分性} は sin⁡(θ+kπ)=(−1)ksin⁡θ\sin(\theta+k\pi)=(-1)^k\sin\theta より成り立つ。必要性\text{必要性} は θ=0\theta=0 を代入して sin⁡α=0\sin\alpha=0,よって α=jπ\alpha=j\pi。)

(B) の場合(np は 2π の整数倍np\text{ は }2\pi\text{ の整数倍})を仮定する。 補題1(の 十分性\text{十分性})より h(x+p)=sin⁡(nx+np)=sin⁡(nx)=h(x)h(x+p)=\sin(nx+np)=\sin(nx)=h(x) がすべての xx で成り立つ。これを (I) の g(x+p)h(x+p)=g(x)h(x)g(x+p)h(x+p)=g(x)h(x) に代入すると (g(x+p)−g(x))h(x)=0(すべての x).\bigl(g(x+p)-g(x)\bigr)h(x)=0\quad(\text{すべての }x). h(x)=sin⁡(nx)h(x)=\sin(nx) の零点は x=kπ/nx=k\pi/n(k は整数k\text{ は整数})という孤立点のみだから,それ以外の xx では g(x+p)=g(x)g(x+p)=g(x) が成り立つ。孤立零点 x0=kπ/nx_0=k\pi/n については,その近くの(零点でない)点列 x0+ε (ε→0, ε≠0)x_0+\varepsilon\ (\varepsilon\to0,\ \varepsilon\ne0) で g(x0+ε+p)=g(x0+ε)g(x_0+\varepsilon+p)=g(x_0+\varepsilon) が成り立ち,gg は連続関数(絶対値と正弦関数の合成)なので ε→0\varepsilon\to0 の極限をとれば g(x0+p)=g(x0)g(x_0+p)=g(x_0) も成り立つ。したがって g(x+p)=g(x)(すべての x),g(x+p)=g(x)\quad(\text{すべての }x), すなわち ∣sin⁡(m(x+p))∣=∣sin⁡(mx)∣|\sin(m(x+p))|=|\sin(mx)| がすべての xx で成り立つ。補題2の(必要性\text{必要性})より mp は π の整数倍mp\text{ は }\pi\text{ の整数倍}。 この場合,仮定 np は 2π の整数倍np\text{ は }2\pi\text{ の整数倍} と合わせて,mp は π の整数倍mp\text{ は }\pi\text{ の整数倍} かつ np は 2π の整数倍np\text{ は }2\pi\text{ の整数倍} が成り立つ。

(A) の場合(mp は 2π の整数倍mp\text{ は }2\pi\text{ の整数倍})を仮定する。 同様に補題2(十分性\text{十分性},α=mp は 2π の整数倍 であり、したがって π の整数倍\alpha=mp\text{ は }2\pi\text{ の整数倍}\text{ であり、したがって }\pi\text{ の整数倍})より g(x+p)=∣sin⁡(mx+mp)∣=∣sin⁡(mx)∣=g(x)g(x+p)=|\sin(mx+mp)|=|\sin(mx)|=g(x) がすべての xx で成り立つ。(I) に代入すると g(x)(h(x+p)−h(x))=0(すべての x).g(x)\bigl(h(x+p)-h(x)\bigr)=0\quad(\text{すべての }x). g(x)=∣sin⁡(mx)∣g(x)=|\sin(mx)| の零点も x=jπ/mx=j\pi/m という孤立点のみだから,同様に「零点以外で h(x+p)=h(x)h(x+p)=h(x)」→「連続性により孤立点でも成立」という手順で h(x+p)=h(x)(すべての x),h(x+p)=h(x)\quad(\text{すべての }x), すなわち sin⁡(n(x+p))=sin⁡(nx)\sin(n(x+p))=\sin(nx) がすべての xx で成り立つ。補題1(の 必要性\text{必要性})より np は 2π の整数倍np\text{ は }2\pi\text{ の整数倍}。これと仮定 mp は 2π の整数倍 であり、したがって π の整数倍mp\text{ は }2\pi\text{ の整数倍}\text{ であり、したがって }\pi\text{ の整数倍} より,やはり mp は π の整数倍mp\text{ は }\pi\text{ の整数倍} かつ np は 2π の整数倍np\text{ は }2\pi\text{ の整数倍} が成り立つ。

(A),(B) いずれの場合も同じ結論が出るので,(A) または (B) が必ず成り立つことと合わせて, mp は π の整数倍であり,np は 2π の整数倍である。\boxed{mp\ \text{は}\ \pi\ \text{の整数倍であり},\quad np\ \text{は}\ 2\pi\ \text{の整数倍である。}}

(3) m,nm,n は 11 以外の公約数をもたない自然数とする。

必要条件から十分条件へ (2) より,p(>0)p(>0) が ff の周期であるためには mp=aπ,np=2bπ(a,b は正の整数)mp=a\pi,\qquad np=2b\pi\qquad(a,b\ \text{は正の整数}) と書けることが必要である。逆にこの形の pp は実際に周期である。なぜなら,aa が整数だから g(x+p)=∣sin⁡(mx+aπ)∣=∣(−1)asin⁡(mx)∣=∣sin⁡(mx)∣=g(x),g(x+p)=|\sin(mx+a\pi)|=|(-1)^a\sin(mx)|=|\sin(mx)|=g(x), bb が整数だから h(x+p)=sin⁡(nx+2bπ)=sin⁡(nx)=h(x)h(x+p)=\sin(nx+2b\pi)=\sin(nx)=h(x) がすべての xx で成り立ち,積をとれば f(x+p)=f(x)f(x+p)=f(x) となるからである。 したがって,p>0p>0 が ff の周期であることは,ある正の整数 a,ba,b が存在して mp=aπ, np=2bπmp=a\pi,\ np=2b\pi となることと同値である。

最小の pp を求める mp=aπ, np=2bπmp=a\pi,\ np=2b\pi の両辺から pp を消去すると aπm=2bπnよりan=2bm.\displaystyle \frac{a\pi}{m}=\frac{2b\pi}{n}\quad\text{より}\quad an=2bm. gcd⁡(m,n)=1\gcd(m,n)=1 かつ m∣anm\mid an だから m∣am\mid a。そこで a=mca=mc(cc は正の整数)とおくと,このとき p=aπm=cπ\displaystyle p=\frac{a\pi}{m}=c\pi であり,また an=2bman=2bm に a=mca=mc を代入すると mcn=2bmmcn=2bm,すなわち b=cn2\displaystyle b=\frac{cn}{2} となる。bb が正の整数であるための条件は「cncn が偶数であること」である。

・ nn が偶数のとき:c=1c=1 でも cn=ncn=n は偶数なので条件を満たす。よって最小の cc は 11,すなわち p=πp=\pi が(存在しうる最小の)周期であり,実際に周期であることは上で確認済み。

・ nn が奇数のとき:c=1c=1 では cn=ncn=n は奇数となり不適。c=2c=2 ならば cn=2ncn=2n は偶数となり条件を満たす。よって最小の cc は 22,すなわち p=2πp=2\pi が最小の周期である。

(周期は必ず p=cπp=c\pi の形であり,cc は「cncn が偶数」という条件を満たす最小の正整数として一意に定まるので,これが基本周期である。)

以上より,関数 ∣sin⁡(mx)∣sin⁡(nx)|\sin(mx)|\sin(nx)(gcd⁡(m,n)=1\gcd(m,n)=1)の基本周期は {π(n が偶数のとき)2π(n が奇数のとき)\boxed{\begin{cases}\pi & (n\ \text{が偶数のとき})\\ 2\pi & (n\ \text{が奇数のとき})\end{cases}} である(この値は mm の値には依存しない)。

検算

・ m=2,n=1m=2,n=1(nn奇数):予想は 2π2\pi。実際 f(x+π)=∣sin⁡(2x+2π)∣sin⁡(x+π)=∣sin⁡2x∣(−sin⁡x)=−f(x)≠f(x)f(x+\pi)=|\sin(2x+2\pi)|\sin(x+\pi)=|\sin2x|(-\sin x)=-f(x)\ne f(x) となり π\pi は周期でない一方,f(x+2π)=∣sin⁡2x∣sin⁡x=f(x)f(x+2\pi)=|\sin2x|\sin x=f(x) で 2π2\pi は周期。整合する。

・ m=1,n=2m=1,n=2(nn偶数):予想は π\pi。実際 f(x+π)=∣sin⁡(x+π)∣sin⁡(2x+2π)=∣sin⁡x∣sin⁡2x=f(x)f(x+\pi)=|\sin(x+\pi)|\sin(2x+2\pi)=|\sin x|\sin2x=f(x) となり成立し,x=π/4x=\pi/4 で f(π/4+π/2)=f(3π/4)=−2/2≠f(π/4)=2/2f(\pi/4+\pi/2)=f(3\pi/4)=-\sqrt2/2\ne f(\pi/4)=\sqrt2/2 より p/2=π/2p/2=\pi/2 は周期でなく,π\pi が最小であることとも整合する。

y=|sin x|と題した青いグラフで、横軸の目盛は−2π、−π、0、π、2π、縦の目盛は0、1である。各整数倍のπで横軸に達して折れ曲がり(とがった点)、その間で高さ1の山形が繰り返されている。0からπまでの区間の上に両向きの水平矢印とπの表示がある。

この問題で使う考え方

  • 奇関数と周期性
  • 連続性
  • 整数の整除

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