カード 1,2,3,4 を 4 で割った余りは,それぞれ 1,2,3,0 である。k 回目に取り出したカードの数字を Xk とし,1 回目から k 回目までの積 X1X2⋯Xk を 4 で割った余りを Yk とおく。Yk は 0,1,2,3 のいずれかであり,Yk+1 は Yk と Xk+1 の積を 4 で割った余りに等しい。
【状態遷移の確認】
Xk+1 は 1,2,3,4 の値を等確率 41 ずつとる。Yk=y のときの Yk+1 の分布を調べる。
(i) y=0 のとき:0⋅Xk+1≡0(mod4) なので,常に Yk+1=0。
(ii) y=1 のとき:Yk+1≡Xk+1(mod4) であり,Xk+1=1,2,3,4 の余りはちょうど 1,2,3,0 だから,Yk+1 は 0,1,2,3 を等確率 41 ずつとる。
(iii) y=3 のとき:3⋅1≡3, 3⋅2≡2, 3⋅3≡1, 3⋅4≡0(mod4) なので,これも Yk+1 は 0,1,2,3 を等確率 41 ずつとる。
(iv) y=2 のとき:2⋅1≡2, 2⋅2≡0, 2⋅3≡2, 2⋅4≡0(mod4) なので,Yk+1=2 となる確率が 21(Xk+1=1,3),Yk+1=0 となる確率が 21(Xk+1=2,4)であり,Yk+1=1,3 にはならない。
【漸化式】
n≧1 に対し P(Yn=0)=pn, P(Yn=1)=qn, P(Yn=2)=rn, P(Yn=3)=sn とすると,上の遷移確率より n≧1 でpn+1=pn+41qn+21rn+41sn,qn+1=41qn+41sn,rn+1=41qn+21rn+41sn,sn+1=41qn+41snが成り立つ。また n=1 のとき X1 の余りは 1,2,3,0 のいずれかを等確率でとるからp1=q1=r1=s1=41.
【qn,sn を求める】
qn+1 と sn+1 の式は右辺が全く同じ形なので,q1=s1 とあわせて帰納的にqn=sn(n=1,2,3,…)が成り立つ。tn=qn+sn=2qn とおくとtn+1=qn+1+sn+1=2(41qn+41sn)=21(qn+sn)=21tnであり,t1=q1+s1=21 だから,数列 {tn} は初項 21,公比 21 の等比数列でtn=21(21)n−1=(21)n=2n1.よってqn=sn=2tn=2n+11(n=1,2,3,…).
【rn を求める】
rn+1=41qn+21rn+41sn=41tn+21rn=41⋅2n1+21rn=2n+21+21rn.
両辺に 2n+1 を掛けると,un=2nrn とおいてun+1=2n+1rn+1=2n+22n+1+2nrn=21+un.u1=21r1=2⋅41=21 であり,{un} は公差 21 の等差数列だからun=u1+(n−1)⋅21=21+2n−1=2n.よってrn=2nun=2nn/2=2n+1n(n=1,2,3,…).
【pn を求める】
事象「余りが 0」「余りが 1」「余りが 2」「余りが 3」は排反かつ全体を尽くすので pn+qn+rn+sn=1 が常に成り立つ。したがってpn=1−qn−rn−sn=1−2n+11−2n+1n−2n+11=1−2n+1n+2=2n+12n+1−n−2.
【検算】
n=1:p1=44−1−2=41, q1=41, r1=41, s1=41 となり,カード 4,1,2,3 を引く場合にそれぞれ対応し,初期条件と一致する。
n=2:公式より p2=88−2−2=21, q2=81, r2=41, s2=81。一方,2 回の試行 16 通り (X1,X2) をすべて書き出して積の余りを数えると,余り 0 となるのは (1,4),(2,2),(2,4),(3,4),(4,1),(4,2),(4,3),(4,4) の 8 通り,余り 1 は (1,1),(3,3) の 2 通り,余り 2 は (1,2),(2,1),(2,3),(3,2) の 4 通り,余り 3 は (1,3),(3,1) の 2 通りであり,確率は 168,162,164,162,すなわち 21,81,41,81 となって公式と一致する。また,どの n でも pn+qn+rn+sn=1 となることも確認できる。
以上より,求める確率はpn=2n+12n+1−n−2,qn=2n+11,rn=2n+1n,sn=2n+11(n=1,2,3,…).