座標平面上に O(0,0), A(2,0), B(1,3) をとる。 OA2=4,OB2=1+3=4,AB2=(2−1)2+(0−3)2=1+3=4 であるから OA=OB=AB=2 となり,三角形 OAB は1辺の長さ2の正三角形である。
以下,a=OA=(2,0), b=OB=(1,3) とおく。このとき a⋅b=2⋅1+0⋅3=2,∣a∣2=∣b∣2=4 である。
(1) パラメータによる表示
点 P1 は A,B と異なる線分 AB 上の点であるから,0<s1<1 を満たすある実数 s1 を用いて OP1=(1−s1)a+s1b と表せる。一般に,点 Pn が線分 AB 上にあるとき,0<sn<1 を満たす対応する実数 sn を OPn=(1−sn)a+snb により定める(sn=0,1 はそれぞれ Pn=A,B に対応するが,構成上 Pn はいつも A,B と異なることを後で確認する)。
(2) Qn の計算(OB への正射影)
Qn は Pn から直線 OB に下ろした垂線の足であるから,正射影の公式より OQn=∣b∣2OPn⋅bb. ここで OPn⋅b=(1−sn)(a⋅b)+sn∣b∣2=(1−sn)⋅2+sn⋅4=2+2sn であるから OQn=42+2snb=21+snb. (0≦21<21+sn<1 だから Qn は確かに線分 OB 上にある。)
(3) Rn の計算(OA への正射影)
同様に,Rn は Qn から直線 OA に下ろした垂線の足であるから ORn=∣a∣2OQn⋅aa,OQn⋅a=21+sn(b⋅a)=21+sn⋅2=1+sn より ORn=41+sna. (0≦41<41+sn<21≦1 だから Rn は確かに線分 OA 上にある。)
(4) Pn+1 の計算と漸化式
直線 AB は点 A を通り,方向ベクトル b−a をもつ直線である。Pn+1 は Rn からこの直線へ下ろした垂線の足であるから,正射影の公式より OPn+1=a+∣b−a∣2(ORn−a)⋅(b−a)(b−a). ここで ORn−a=(41+sn−1)a=4sn−3a, (ORn−a)⋅(b−a)=4sn−3(a⋅b−∣a∣2)=4sn−3(2−4)=23−sn, また ∣b−a∣2=AB2=4 であるから,OPn+1=(1−sn+1)a+sn+1b の係数を比較して sn+1=4(3−sn)/2=83−sn(n=1,2,3,…) という sn の漸化式を得る。
(5) 漸化式の解析と収束
不動点 s∗ は s∗=83−s∗ より 8s∗=3−s∗,すなわち s∗=31。両辺から不動点の式を引くと sn+1−31=83−sn−31=249−3sn−8=241−3sn=−81(sn−31) となるので,数列 {sn−31} は初項 s1−31,公比 −81 の等比数列である。よって sn−31=(−81)n−1(s1−31). −81<1 であるから,s1 の値(すなわち最初の点 P1 の位置)によらず n→∞limsn=31 が成り立つ。
なお,0<s1<1 ならば 2<3−s1<3 より 0<41<s2=83−s1<83<1 となり,帰納的にすべての n で 0<sn<1 が成り立つ。したがって各 Qn,Rn,Pn+1 は問題文の通り対応する線分上に定まり,構成は矛盾なく続けられる。
(6) 極限点の座標
OPn=(1−sn)a+snb に sn→31 を代入して n→∞limOPn=32a+31b=32(2,0)+31(1,3)=(34+31, 33)=(35, 33).
よって,Pn が限りなく近づく点の座標は (35, 33) である。
検算
(i) 数値例:P1 を線分 AB の中点にとると s1=21 である。このとき s2=83−0.5=0.3125,s3=83−0.3125≒0.335938,s4=83−0.335938≒0.333008 となり,31=0.333333… へ単調に近づいていくことが確認できる。
(ii) 座標のままの別ルート:Pn=(xn,yn) として同じ正射影の手順を直接座標計算すると xn+1=161xn+163yn+23,yn+1=−163xn−163yn+23 という漸化式が得られる。極限点 (x,y) はこれらの不動点として 15x−3y=24,3x+19y=83 を満たす。第1式に19を,第2式に3を掛けて辺々加えると 288x=480 より x=35,これを第2式に代入して y=33 を得る。ベクトルによる計算結果と完全に一致し,答えの正しさが確かめられる。
(iii) 得られた極限点は 0<s=31<1 に対応する点であり,これは線分 AB を AP:PB=1:2 に内分する点である。実際 A+31(B−A)=(2−31, 33)=(35,33) となり,構成上すべての Pn が線分 AB 上にあることと矛盾しない。