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九州大学/2026年度/前期

九州大学 2026年 数学 第4問解答・解説

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1問題

九州大学2026年度第4問配点 50点

この問題の解答は,解答紙18の定められた場所に記入しなさい。

【問題】

以下の問いに答えよ。ただし,2, 3, 6\sqrt{2},\ \sqrt{3},\ \sqrt{6} が無理数であることは用いてよい。

(1) 2+3=5+26\sqrt{2}+\sqrt{3}=\sqrt{5+2\sqrt{6}} を示せ。また,2+3\sqrt{2}+\sqrt{3} は無理数であることを示せ。

(2) 2+3\sqrt{2}+\sqrt{3} を解にもつ,係数がすべて有理数の4次方程式を1つ求めよ。また,その4次方程式の解をすべて求めよ。

(3) 2+3\sqrt{2}+\sqrt{3} を解にもつ,係数がすべて有理数の2次方程式は存在しないことを示せ。

まずは自分で解いてみましょう。詰まったら「考え方」、解けたら「答え」で確かめられます。

2答え

答えを見る自分の答えと照らし合わせる
  • (1) (2+3)2=5+26 (1)\space{}(\sqrt{2}+\sqrt{3})^2=5+2\sqrt{6}\space{} であり, 2+3>0, 5+26>0 ,\space{}\sqrt{2}+\sqrt{3}>0,\space{}5+2\sqrt{6}>0\space{} なので 2+3=5+26 \space{}\sqrt{2}+\sqrt{3}=\sqrt{5+2\sqrt{6}}\space{} が成り立つ。また, 2+3=r (,\space{}\sqrt{2}+\sqrt{3}=r\space{}(有理数) と仮定すると 6=r2−52 \displaystyle \space{}\sqrt{6}=\dfrac{r^2-5}{2}\space{} が有理数となり, 6 ,\space{}\sqrt{6}\space{} が無理数であることに矛盾するので 2+3 \space{}\sqrt{2}+\sqrt{3}\space{} は無理数である。
    (2) x4−10x2+1=0 (2)\space{}x^4-10x^2+1=0\space{} (係数がすべて有理数の4次方程式の一例)であり,その解は x=2+3, −2−3, 3−2, 2−3 \space{}x=\sqrt2+\sqrt3,\space{}-\sqrt2-\sqrt3,\space{}\sqrt3-\sqrt2,\space{}\sqrt2-\sqrt3\space{} の4つ(x=±2±3x=\pm\sqrt2\pm\sqrt3,複号任意)。
    (3) 2+3 (3)\space{}\sqrt2+\sqrt3\space{} を解にもつ有理数係数の2次方程式 ax2+bx+c=0 (a≠0) \space{}ax^2+bx+c=0\space{}(a\ne0)\space{} の存在を仮定すると (5a+c)+b2+b3+2a6=0 \space{}(5a+c)+b\sqrt2+b\sqrt3+2a\sqrt6=0\space{} となり,b=0 b=0\space{} でも b≠0 \space{}b\ne0\space{} でも矛盾するので,そのような2次方程式は存在しない。

3解答

解答を見る途中式つきの解答

(1) 2+3=5+26\sqrt{2}+\sqrt{3}=\sqrt{5+2\sqrt{6}} を示す。 (2+3)2=2+223+3=5+26(\sqrt{2}+\sqrt{3})^2=2+2\sqrt{2}\sqrt{3}+3=5+2\sqrt{6} である。2+3>0\sqrt{2}+\sqrt{3}>0 であり,また 26=24<25=52\sqrt6=\sqrt{24}<\sqrt{25}=5 より 5+26>05+2\sqrt6>0 でもあるから,両辺の正の平方根を考えて 2+3=(2+3)2=5+26\sqrt{2}+\sqrt{3}=\sqrt{(\sqrt{2}+\sqrt{3})^2}=\sqrt{5+2\sqrt{6}} が成り立つ。

次に,2+3\sqrt{2}+\sqrt{3} が無理数であることを背理法で示す。2+3\sqrt{2}+\sqrt{3} が有理数であると仮定し,これを rr とおく。上の計算より r2=5+26r^2=5+2\sqrt{6} であるから 6=r2−52\displaystyle \sqrt{6}=\frac{r^2-5}{2} となる。rr は有理数であるから右辺 r2−52\displaystyle \dfrac{r^2-5}{2} も有理数であり,したがって 6\sqrt{6} は有理数となる。これは 6\sqrt{6} が無理数であることに矛盾する。ゆえに,2+3\sqrt{2}+\sqrt{3} は無理数である。

(2) x=2+3x=\sqrt{2}+\sqrt{3} とおく。(1)より x2=5+26x^2=5+2\sqrt{6} であるから x2−5=26x^2-5=2\sqrt{6} の両辺を平方すると (x2−5)2=24,すなわちx4−10x2+25=24(x^2-5)^2=24,\qquad\text{すなわち}\qquad x^4-10x^2+25=24 より x4−10x2+1=0x^4-10x^2+1=0 を得る。これは係数がすべて有理数(実際には整数)の4次方程式であり,x=2+3x=\sqrt{2}+\sqrt{3} を解にもつ。したがって,求める4次方程式の一つは x4−10x2+1=0x^4-10x^2+1=0 である。

この方程式のすべての解を求める。y=x2y=x^2 とおくと y2−10y+1=0y^2-10y+1=0 となり,解の公式より y=10±100−42=5±26\displaystyle y=\frac{10\pm\sqrt{100-4}}{2}=5\pm2\sqrt{6} を得る。26=24<52\sqrt6=\sqrt{24}<5 であるから 5−26>05-2\sqrt6>0 であり,5+26>05+2\sqrt6>0 でもあるので,どちらの yy の値に対しても x2=yx^2=y を満たす実数 xx が存在する。ここで 5+26=(2+3)2,5−26=(3−2)25+2\sqrt{6}=(\sqrt{2}+\sqrt{3})^2,\qquad 5-2\sqrt{6}=(\sqrt{3}-\sqrt{2})^2 であることに注意する(実際 (3−2)2=3−26+2=5−26(\sqrt3-\sqrt2)^2=3-2\sqrt6+2=5-2\sqrt6)。よって x2=5+26すなわちx=±(2+3),x2=5−26すなわちx=±(3−2)x^2=5+2\sqrt6 \quad\text{すなわち}\quad x=\pm(\sqrt2+\sqrt3),\qquad x^2=5-2\sqrt6 \quad\text{すなわち}\quad x=\pm(\sqrt3-\sqrt2) であるから,4次方程式 x4−10x2+1=0x^4-10x^2+1=0 のすべての解は x=2+3, −2−3, 3−2, 2−3x=\sqrt2+\sqrt3,\ -\sqrt2-\sqrt3,\ \sqrt3-\sqrt2,\ \sqrt2-\sqrt3 の4個(すなわち x=±2±3x=\pm\sqrt2\pm\sqrt3,複号任意の4通り)であり,これらはすべて相異なる実数である。

(3) 2+3\sqrt2+\sqrt3 を解にもち,係数がすべて有理数の2次方程式が存在すると仮定して矛盾を導く。

すなわち,有理数 a,b,ca,b,c(a≠0a\ne0)が存在して a(2+3)2+b(2+3)+c=0a(\sqrt2+\sqrt3)^2+b(\sqrt2+\sqrt3)+c=0 が成り立つと仮定する。(1)より (2+3)2=5+26(\sqrt2+\sqrt3)^2=5+2\sqrt6 であるから,これを代入して整理すると (5a+c)+b2+b3+2a6=0⋯(∗)(5a+c)+b\sqrt2+b\sqrt3+2a\sqrt6=0 \qquad\cdots(\ast) を得る。

(i) b=0b=0 の場合。(∗)(\ast) は (5a+c)+2a6=0(5a+c)+2a\sqrt6=0 となる。a≠0a\ne0 であるから 6=−5a+c2a\displaystyle \sqrt6=-\frac{5a+c}{2a} となり,右辺は有理数どうしの商だから有理数である。これは 6\sqrt6 が無理数であることに矛盾する。よって b=0b=0 はあり得ない。

(ii) b≠0b\ne0 の場合。(∗)(\ast) より b(2+3)=−(5a+c)−2a6b(\sqrt2+\sqrt3)=-(5a+c)-2a\sqrt6 なので,両辺を bb で割って 2+3=u+v6,u:=−5a+cb, v:=−2ab\displaystyle \sqrt2+\sqrt3=u+v\sqrt6,\qquad u:=-\frac{5a+c}{b},\ v:=-\frac{2a}{b} とおける。a≠0, b≠0a\ne0,\,b\ne0 より u,vu,v は有理数であり,v≠0v\ne0 である。

この両辺を平方すると (2+3)2=u2+2uv6+6v2(\sqrt2+\sqrt3)^2=u^2+2uv\sqrt6+6v^2 すなわち 5+26=(u2+6v2)+2uv65+2\sqrt6=(u^2+6v^2)+2uv\sqrt6 である。もし uv≠1uv\ne1 ならば,これを 6=5−(u2+6v2)2uv−2\displaystyle \sqrt6=\dfrac{5-(u^2+6v^2)}{2uv-2} と変形でき,右辺は有理数どうしの演算だから 6\sqrt6 が有理数となって矛盾する。ゆえに uv=1uv=1 でなければならず,このとき残る部分の比較から u2+6v2=5u^2+6v^2=5 も成り立つ。

uv=1uv=1 かつ v≠0v\ne0 であるから u≠0u\ne0 で,v=1u\displaystyle v=\dfrac1u である。これを u2+6v2=5u^2+6v^2=5 に代入すると u2+6u2=5\displaystyle u^2+\frac{6}{u^2}=5 となり,両辺に u2u^2(>0>0)を掛けて整理すると u4−5u2+6=0より(u2−2)(u2−3)=0u^4-5u^2+6=0 \quad\text{より}\quad (u^2-2)(u^2-3)=0 を得る。よって u2=2u^2=2 または u2=3u^2=3 である。しかし uu は有理数であるから u2u^2 も有理数であり,もし u2=2u^2=2 なら ∣u∣=2|u|=\sqrt2 となって 2\sqrt2 が有理数であることになり矛盾し,もし u2=3u^2=3 なら同様に 3\sqrt3 が有理数であることになって矛盾する。したがって,b≠0b\ne0 の場合も矛盾が生じる。

(i),(ii)のいずれの場合も矛盾するから,2+3\sqrt2+\sqrt3 を解にもち,係数がすべて有理数の2次方程式は存在しない。■\blacksquare

この問題で使う考え方

  • 実数と無理数
  • 対偶・背理法による証明
  • 高次方程式
  • 二次方程式とグラフ

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