(1) 2+3=5+26 を示す。 (2+3)2=2+223+3=5+26 である。2+3>0 であり,また 26=24<25=5 より 5+26>0 でもあるから,両辺の正の平方根を考えて 2+3=(2+3)2=5+26 が成り立つ。
次に,2+3 が無理数であることを背理法で示す。2+3 が有理数であると仮定し,これを r とおく。上の計算より r2=5+26 であるから 6=2r2−5 となる。r は有理数であるから右辺 2r2−5 も有理数であり,したがって 6 は有理数となる。これは 6 が無理数であることに矛盾する。ゆえに,2+3 は無理数である。
(2) x=2+3 とおく。(1)より x2=5+26 であるから x2−5=26 の両辺を平方すると (x2−5)2=24,すなわちx4−10x2+25=24 より x4−10x2+1=0 を得る。これは係数がすべて有理数(実際には整数)の4次方程式であり,x=2+3 を解にもつ。したがって,求める4次方程式の一つは x4−10x2+1=0 である。
この方程式のすべての解を求める。y=x2 とおくと y2−10y+1=0 となり,解の公式より y=210±100−4=5±26 を得る。26=24<5 であるから 5−26>0 であり,5+26>0 でもあるので,どちらの y の値に対しても x2=y を満たす実数 x が存在する。ここで 5+26=(2+3)2,5−26=(3−2)2 であることに注意する(実際 (3−2)2=3−26+2=5−26)。よって x2=5+26すなわちx=±(2+3),x2=5−26すなわちx=±(3−2) であるから,4次方程式 x4−10x2+1=0 のすべての解は x=2+3, −2−3, 3−2, 2−3 の4個(すなわち x=±2±3,複号任意の4通り)であり,これらはすべて相異なる実数である。
(3) 2+3 を解にもち,係数がすべて有理数の2次方程式が存在すると仮定して矛盾を導く。
すなわち,有理数 a,b,c(a=0)が存在して a(2+3)2+b(2+3)+c=0 が成り立つと仮定する。(1)より (2+3)2=5+26 であるから,これを代入して整理すると (5a+c)+b2+b3+2a6=0⋯(∗) を得る。
(i) b=0 の場合。(∗) は (5a+c)+2a6=0 となる。a=0 であるから 6=−2a5a+c となり,右辺は有理数どうしの商だから有理数である。これは 6 が無理数であることに矛盾する。よって b=0 はあり得ない。
(ii) b=0 の場合。(∗) より b(2+3)=−(5a+c)−2a6 なので,両辺を b で割って 2+3=u+v6,u:=−b5a+c, v:=−b2a とおける。a=0,b=0 より u,v は有理数であり,v=0 である。
この両辺を平方すると (2+3)2=u2+2uv6+6v2 すなわち 5+26=(u2+6v2)+2uv6 である。もし uv=1 ならば,これを 6=2uv−25−(u2+6v2) と変形でき,右辺は有理数どうしの演算だから 6 が有理数となって矛盾する。ゆえに uv=1 でなければならず,このとき残る部分の比較から u2+6v2=5 も成り立つ。
uv=1 かつ v=0 であるから u=0 で,v=u1 である。これを u2+6v2=5 に代入すると u2+u26=5 となり,両辺に u2(>0)を掛けて整理すると u4−5u2+6=0より(u2−2)(u2−3)=0 を得る。よって u2=2 または u2=3 である。しかし u は有理数であるから u2 も有理数であり,もし u2=2 なら ∣u∣=2 となって 2 が有理数であることになり矛盾し,もし u2=3 なら同様に 3 が有理数であることになって矛盾する。したがって,b=0 の場合も矛盾が生じる。
(i),(ii)のいずれの場合も矛盾するから,2+3 を解にもち,係数がすべて有理数の2次方程式は存在しない。■